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飲食店経営をする上で「損益分岐点」を戦略的に使用したい方も多いのではないでしょうか。
実際に損益分岐点を分析したことで飲食店の利益率を上げることができた経営者も多くいます。本記事では損益分岐点の計算方法や分析方法を徹底解説します。
損益分岐点についての知識を深め、経営する飲食店の利益増加に繋げましょう。
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損益分岐点は「売上」=「利益」になるところ
「売上」=「利益」となる点を「損益分岐点」といいます。
文字通り、損益と利益の分かれ道となる数値で、お店の経営が黒字になるのか、赤字になるのかの境目です。
飲食店の経営をしていると、予想より客数が入らず売上が下がってしまったり、食材の不作で仕入れ費用が膨らんでしまったりすることもあります。
損益分岐点は赤字にならないにはどこがギリギリの点なのか、あとどの程度売上を上げてれば黒字になるのかということを知る目安となります。経営している損益分岐点を知っておくことで、現在の経営状況を客観的に見ることができるので戦略的な経営をしやすくなるでしょう。
損益分岐点の分析に必要な2つの費用
損益分岐点分析とは、どれくらい売上を上げれば利益がでるのかを見極めることをいいます。分析の際に重要なのが、飲食店を運営するにあたりかかっている費用を「固定費」と「変動費」の二つに分類することです。
①固定費
売上の増減にかかわらず金額が変動しない費用を固定費といいます。飲食店における固定費は以下のようなものです。
- 家賃
- 固定資産税
- 通信費
- 人件費
- リース料
- 減価償却費
- 支払利息
売上に関係なく発生する支払いです。飲食店の固定費で大きいウェイトを占めるのは家賃や固定資産税です。賃貸物件の場合は家賃、購入した物件の場合は土地や建物の固定資産税が発生します。
また、業務に使う冷蔵庫や機械、暖房器具などリース契約で使用している場合はリース料がかかり、購入した場合は毎年減価償却費がかかります。銀行から借入をしている場合には毎月の返済があります。
人件費は固定費、変動費のどちらにも該当する場合があります。売上に関係なく従業員を雇っている場合は固定費に当てはまります。
②変動費
売上の増減とともに金額が変動する費用を変動費といいます。飲食店における変動費は以下のようなものです。
- 原材料費
- 人件費
- 光熱費
- 消耗品費
- 販促費
売上に関係して費用が変動するものです。原材料費は固定費と思われることも多いですが、変動費に当てはまります。売上が変われば原材の仕入れ量も変化する為です。光熱費は季節や営業時間によってかかる費用が変化します。割り箸やおしぼり等の消耗品費はお客の入りによって使用量が変動します。販促にかける費用も毎月固定ではなく売上減少となれば削減する可能性のある箇所です。
繁忙期や売上によって労働時間が変わる可能性のあるアルバイトやパートへの人件費は変動費に当てはまります。
上記のように人件費に関しては固定費なのか、変動費なのかの見極めが必要です。
飲食店の水道代の平均相場はいくら?コスト削減のポイントもご紹介! 飲食店の目安の「電気代平均相場」とは?節約・削減する2つの方法も解説損益分岐点の計算方法は簡単
固定費と変動費を二つに分類できれば、損益分岐点の計算は簡単です。
損益分岐点=固定費÷(1-変動費÷売上高)
損益分岐点を上回る売上が利益です。その為、損益分岐点は低いほうがよいとされています。言い換えれば、損益分岐点を下げることができれば利益を上げやすくなるということです。固定費を下げる、変動費を下げる、売上を上げることで損益分岐点を下げることができます。
実際の飲食店経営のケースに当てはめ、損益分岐点を計算してみましょう。
毎月の売上が250万、固定費が100万円、変動費が125万円かかっているケースで計算します。
例:
売上高250万円
【固定費】
人件費75万円
家賃25万円
【変動費】
売上原価(原材料)75万円
光熱費12.5万円
販促費12.5万円
その他の経費25万円
損益分岐点=固定費(人件費75万円+家賃25万円) ÷(1-変動費(売上原価(原材料)75万円+光熱費12.5万円+販促費12.5万円+その他の経費25万円) ÷売上高250万)
=100万円÷(1-125万円÷250万円)
=200万円
この場合、売上高200万円が損益分岐点となります。200万円を上回る場合は黒字に、200万円を下回る場合は赤字です。現在の売上高が250万円なので、この飲食店の場合は現在黒字経営ができています。このように、現在の売上高や固定費、変動費から黒字か赤字かを簡単に判断することができるのが損益分岐点です。固定費と変動費の二つに分類するだけで簡単に計算ができる上、黒字赤字点が明確になるので経営状況を判断しやすくなります。
損益分岐点比率は90%
損益分岐点比率とは、売上高と損益分岐点の比率のことをいいます。以下で計算ができます。
損益分岐点比率 = (損益分岐点 ÷ 売上高 )× 100
損益分岐点が黒字か赤字かの境目が分かる点なのに対し、損益分岐点比率は損益分岐点と比較して実際の売上高がどの程度上回ったのかが分かる指標となります。
損益分岐点比率は一般企業では80〜90%程度です。飲食店の損益分岐点比率は90%ほどが目安となっています。低いほど収益性が高いので、損益分岐点比率が90%を超えるほどの値になっている場合は経営の見直しを早急にする必要はあります。
損益分岐点比率を下げには売上を上げることです。しかし、売上を上げるということは変動費の増加にも繋がります。飲食店は売上を上げるに変動費である原材料費もよりかかります。よって飲食店においては固定費をできるだけ削減することで損益分岐点比率を下げるように取り組みましょう。
先ほどの飲食店経営のケースに当てはめ、損益分岐点比率を計算してみましょう。
例:
売上高250万円
【固定費】
人件費75万円
家賃25万円
【変動費】
売上原価(原材料)75万円
光熱費12.5万円
販促費12.5万円
その他の経費25万円
損益分岐点比率 = (損益分岐点(200万円) ÷ 売上高(250万円) )× 100
=80%
損益分岐点比率は80%です。90%以上になった場合には早急に経営の見直しが必要です。この飲食店の場合、現状は黒字で売上もよい状態を維持できています。
損益分岐点のみを見ると赤字か黒字かの判断になりますが、損益分岐点比率を算出することで売上高が少なすぎないかをチェックすることができます。いくら経費を削減して損益分岐点を下げたとしても売上が上がっていなければ、経営が厳しくなってきてしまいます。損益分岐点とセットで損益分岐点比率も算出するようにしましょう。
飲食店の利益率を上げる方法
飲食店は売上を上げつつ変動費を下げることは難しいでしょう。そこで固定費をなるべく削減し低くすることで、損益分岐点を下げることができます。
売上の増減に関わらず発生する固定費には以下のようなものがあります。それぞれ削減できるか検討しましょう。
家賃、固定資産税
固定費の大半を占めるのが物件にかかる家賃や固定資産税です。
飲食店の売上からみて物件の広さや立地は適しているでしょうか。空席が目立つ場合にはもう少し狭い物件での営業を検討するのもよいでしょう。都心や繁華街などは人の出入りは激しいですが家賃は高くなります。郊外の駅近くの物件で探してみると、思っていたよりも家賃削減ができることもあります。1度物件を決めてしまうとなかなか移転するのは難しい場合もあるので、経営を始める前の物件検討は慎重に行いましょう。
通信費
電話や郵便代などの通信費はどの程度かかっているでしょうか。固定電話やインターネット通信には毎月一定額がかかります。少しでも安いプランを検討しましょう。最近では郵便によるDMを送るよりも、SNSでの集客を行なった方が、反応が早い場合もあります。
人件費
客入りに対して従業員の数が多すぎる、少なすぎるということはありませんか。固定費として人件費を支払っている場合、客入りが少ない時間にも費用がかかっています。正社員を減らすのは難しいでしょう。客入りが少ない時間には違う業務を担当してもらうなどして業務効率をはかりましょう。
また、注文を取る、レジ業務などは機械を導入することで人件費を削減することができます。機械導入時に費用がかかりますが、1度導入すればその後の人件費削減につながります。
リース料
使っていない機械はありませんか。リースしている期間はその分リース料が発生します。売上に繋がっていない機械をリースしている可能性もあるので、定期的にリース品の使用頻度などを確認し削減に努めましょう。また、長く使用する場合にはリースよりも購入した方が安く済む場合もあります。使用頻度や購入価格、リース費用を比較しましょう。
減価償却費
減価償却費は購入年度に一度で経費として計上せず分割して計上する高価な機械にかかります。数年にわたり支払う為、固定費に該当します。すでに減価償却費に組み入れてしまっている場合の削減は難しいです。そこで、導入前に必要かどうかの見極めが必要です。既に導入している機械で対応できないかを検討したり、導入する場合も使用頻度や、期待できる売上増加を計算したりしましょう。
支払利息
金融機関から借入をしている場合は返済を行います。
利息を少しでも少なくしたい場合は借入金額の見直しをしたり、利率を低くする交渉をしたりという方法もあります。スムーズに交渉する為にも普段から金融機関との関係作りをしましょう。結果的に固定費削減に繋がり、事業拡大時に頼れる存在になるでしょう。
損益分岐点を理解して分析してみよう!
「売上」=「利益」となる「損益分岐点」について理解できましたか。
損益分岐点は経費を固定費、変動費と二つに分類し計算することで簡単に導き出すことができます。損益分岐点や損益分岐点比率を算出してみると、客観的に経営状況を見ることができ、経営に反映することができるので利益アップにも繋げやすくなるでしょう。損益分岐点を理解して分析し、飲食店経営をより軌道にのせましょう。
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