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2020年から始まった新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、マーケティング環境は大きな変化を余儀なくされました。その中で、新たに注目されるようになったのが「デジタル接客」です。
実店舗での販売が減少してオンラインでの販売に切り替える業者が増え、オンラインでのコミュニケーションが増加しました。
オンラインコミュニケーションの増加に伴い、ZoomなどのWeb会議システムが普及したこともあり、日経クロストレンドが2020年7月に実施してまとめた「トレンドマップ 2020夏」調査では、「デジタル接客」は将来性スコアの高いキーワードであるという結果が出ています。
しかし、「デジタル接客」という言葉を聞いたことがあっても、その具体的な内容については、まだそれほど詳しくないという方が多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、デジタル接客とは何か、デジタル接客のためのツール、実際の活用事例、導入に際してのメリット・デメリットについてご紹介します。
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デジタル接客とは
デジタル接客とは、これまで実店舗にて顧客との対面で行っていた販売や問い合わせ対応などの接客サービスを、インターネット上で行う非接触・非対面型の接客システムのことです。
このデジタル接客の普及により、ECサイトやSNS上で商品の販売促進を行ったり、Web会議システムを利用して顧客からの問い合わせに対応することが増えました。従来とは違った新しい接客スタイルがデジタル接客の特徴です。
デジタル接客に似た言葉として、「オンライン接客」「Web接客」などがあります。実際に行われているデジタル接客の手法は有人でのリモート接客対応から、顧客の問い合わせに対して自動で返信する無人のチャットボットの利用まで、幅広く様々な形態があります。
現在のところ、「デジタル接客」という言葉は非常に幅のある表現として用いられているため、「オンライン接客」「Web接客」などの言葉との区別が必ずしも明確ではないといえるでしょう。
デジタル接客のためのツール
デジタル接客を活用するためには、様々なツールを導入する必要があります。そこで、デジタル接客でよく使われるツールを以下に挙げましたので、導入の際の参考にしてみてください。
- SNS
- Web会議システム
- チャットボット
それでは、詳しく見ていきましょう。
SNS
SNSを利用すると、多くのユーザーに対して一度にアプローチすることが可能になるため、認知度の向上を目指したい場合はSNSを活用するのがおすすめです。
Twitter、Facebook、InstagramといったSNSは、それぞれ年代によって利用者のボリュームゾーンが異なるため、ターゲットとなる層に合わせて運用するSNSを使い分ければ、大きな成果をあげることができるでしょう。
Web会議システム
リアルタイムで対応できるため、対面に近いコミュニケーションをとることができます。その場で顧客から話を聞き、問題解決につなげられるのが魅力です。ウェビナー配信を行う場合は、一度に多くの人々に対して発信することができます。
すでにリモートワークやオンライン会議を導入している企業にとっては、比較的準備しやすいツールではないでしょうか。
チャットボット
チャットボットとは、人間の代わりに顧客との会話を自動で行ってくれるプログラムのことです。よくある質問や問い合わせ対応に割いていたコストを大幅に削減し、業務の効率化を図れるようになるのが特徴です。
特にLINEチャットボットは、LINE公式アカウントを作成すれば誰でも簡単にサービスを始めることができるので、新たに導入する店舗や企業が増えてきています。
業界別デジタル接客事例5選
それでは、業界別にデジタル接客の活用事例を紹介していきます。
【アパレル】BAYCREW’S
アパレルブランドを運営するベイクルーズは、自社ECサイトを運営しています。さらに、ZOOMを利用したオンライン接客サービス「Online Styling Service」、商品選びやコーディネートについてチャットでアドバイザーに相談できる「CHAT Fashion Adviser」、入力された寸法から最適なサイズを提案するオンライン試着サービス「unisize」など、様々なサービスを展開しています。
このような先進的な取り組みを行った結果、店舗での営業が主流であったため苦しい経営状況に置かれたアパレル業界において、非常に高い業績を残すことができました。
【住宅】TOTO
住宅総合機器メーカーのTOTOは、オンラインで予約してWeb上でショールームが体験できる「おうちdeショールーム」というサービスを提供しています。
顧客側は実際に足を運ぶ時間がなくても自宅でショールームを体験することができます。また、企業側は接客に当たる時間と人件費を削減することができるため、双方にとってメリットの大きいサービスであると言えるでしょう。
【百貨店】三越伊勢丹
三越伊勢丹は、新宿がモデルの仮想都市空間や仮想伊勢丹新宿店をVR上で再現したアプリ「REV WORLDS」の提供を開始しました。
ユーザーはオンライン上で実際の商品を購入できるほか、チャット機能を使って、アバターで販売員やほかのユーザーとの会話を楽しむこともできます。
【家電】ビックカメラ
ビックカメラでは、専門のオペレーターが無料で製品の紹介や質問に対する回答だけでなく、機器の操作方法を実演で解説するなど、オンラインならではの接客サービスを展開しています。
顧客側はカメラをオフにした状態で利用することができます。また、利用者にはクーポンが進呈されるなど、顧客目線での工夫がみられるサービスです。
【化粧品】ORBIS
化粧品メーカーのオルビスは、顧客の希望に合わせて専門のアドバイザーがチャットかZOOMでカウンセリングを行う無料のオンラインサービスを始めました。
店舗への来客者数が減少した企業が、実店舗での営業・販売の代わりにこうしたデジタル接客を導入することで、従業員の仕事を生み出し、顧客のニーズも満たすことができた好例といえるでしょう。
デジタル接客導入のメリット・デメリット
次に、従来の対面型・接触型の接客と比べたときの、デジタル接客のメリットとデメリットについてご紹介します。
デジタル接客導入のメリット
デジタル接客の導入には、以下のようなメリットがあります。
- 実店舗への来店が不要
- 一対多のコミュニケーションが可能
- 多様な働き方の実現
以下では、それぞれの内容について説明します。
実店舗への来店が不要
デジタル接客が新型コロナウイルス感染症下でのマーケティング方法として注目を集めた大きな理由は、非接触・非対面での接客・販売が実現可能になったからです。これにより、いつ、どこにいる顧客にも対応することができるようになりました。
一対多のコミュニケーションが可能
実店舗での販売が主であった小売店にとっては、ECサイトやSNSを活用することで時間や空間に縛られず販売促進や顧客対応、新規顧客の開拓などを行えるようになります。
デジタル接客により、一対多のコミュニケーションが可能になり、業務の効率化を図ることができるようになりました。また、対面での販売とデジタル接客を組み合わせることで、より大きな売上につなげることもできるでしょう。
多様な働き方の実現
働き方改革や新型コロナウイルス感染症の拡大を受けてリモートワークを導入した企業が増えたことなどにより、フレキシブルな働き方に注目が集まっています。
こうした中で、デジタル接客は、従来の接触・対面型の接客に比べて、働く時間や場所を柔軟に選べる多様な働き方の実現が期待できるサービスであるといえるでしょう。
デジタル接客導入のデメリット
他方で、デジタル接客には次のようなデメリットもあります。
- 顧客との関係性の構築が困難
- 環境整備が必要
- 通信環境に依存
こちらについても、それぞれ解説していきます。
顧客との関係性の構築が困難
実店舗での接客に比べて、時として不特定多数の顧客を相手にしなければならないなど、デジタル接客ではどうしても顧客との距離感が遠くなってしまいます。
また、オンラインでのコミュニケーションの場合は記録に残ってしまう場合もあるため、接客時の言動には対面で応対するとき以上に配慮することが大切です。
環境整備が必要
新たにデジタル接客を導入する場合は、まずインターネット上の環境整備が必要になります。様々なツールの導入、デジタル接客を担当する店舗スタッフの育成、新たな物流システムの構築など、デジタル接客のシステムを始めるには準備段階で一定のコストがかかってしまいます。
まずは試験的に小規模で行ってみて、どの程度必要なのか見積もるなど、導入にかかるコストをなるべく抑える工夫をするとよいでしょう。
通信環境に依存
デジタル接客はオンラインで行うことが前提となるサービスのため、安定したインターネット回線が必要です。そのため、通信環境が整っていないと円滑なコミュニケーションができず、顧客の不満にもつながってしまいます。
また、そもそもデジタル接客で対応できるのはインターネットを利用できる環境にある方に限定されるため、顧客側の通信環境にも左右されてしまいます。
サービス提供者はなるべくアクセシビリティを高め、可能な限りのサポートを行うことが重要です。
まとめ
この記事では、デジタル接客とは何か、デジタル接客のためのツール、実際の活用事例、導入のメリットとデメリットについて解説しました。
デジタル接客は、販売や問い合わせ対応などの接客サービスをインターネット上で行うことで、Web会議システム、SNS、チャットボットなど、多様なツールが用いられています。すでに様々な業界の企業がデジタル接客を導入しており、今後もこの流れは拡大していくでしょう。
来店不要で多くの顧客を獲得できる可能性があり、柔軟な働き方が可能になるなど、デジタル接客を導入するメリットは大きいですが、通信環境の整備が必要などオンラインならではのデメリットがあるのも確かです。
マーケティング業界でいま非常に注目が集まっているデジタル接客。導入を検討されるときは、本記事で紹介したことをぜひ参考にしてみてください。
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