QRコード決済vsクレジットカード決済はどっちが良い?事業者向けに両者を比較

「店舗決済は、QR決済とクレジットカード決済のどっちが良いか迷っている」

「QRコード決済とクレジットカード決済を比較して検討したい」

キャッシュレス化が進んでいる今、現金以外の決済方法を導入しようと考える事業者も少なくないでしょう。

本記事では、QRコード決済とクレジットカード決済の違いを項目別に比較します。

キャッシュレス決済の導入を検討している方は、それぞれのメリットやデメリットも見ながら、どちらを導入するのが良いか検討してください。

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QRコード決済とクレジットカード決済の違いとは?項目別に比較

まず、QRコード決済とクレジットカード決済の違いを見ていきましょう。

QRコード決済とクレジットカード決済の違い
  • 費用
  • 普及率
  • 導入までの流れ
  • 入金までの流れ

4つの項目について以下で説明します。

費用

QRコード決済とクレジットカード決済のどちらを導入しても、一定の費用が必要となります。

費用に関しては導入費用や月額料金、決済手数料などが必要となりますが、全てを合わせて比較してみると、QRコード決済の方が一般的に安価で導入可能です。

QRコード決済とクレジットカード決済の費用を比較してみました。

決済方法QRコード決済クレジットカード決済
導入費用無料が多い1万円〜5万円
月額料金無料が多い3,000円〜8,000円
決済手数料無料〜3%程度3%〜10%
振込手数料無料〜500円程度無料〜500円程度

上記の表は、あくまで相場の数字を記載しており、この他にも決済代行業者を利用する場合、ECサイトから送られてきたデータを基に決済処理する際に発生する手数料として、「トランザクション費用」が必要となる場合もあります。

とはいえ、一般的な金額ではQRコード決済の方が、導入する上での初期費用も月々必要な料金も安いようです。

特にランニングコストと呼ばれる月々の費用は、積み重なると経営に影響を及ぼす可能性もあるため、導入するのにどちらが良いか真剣に考えて選ぶようにしましょう。

普及率

経済産業省は、2021年のキャッシュレス決済比率をキャシュレス決済比率の算出を行い、合計のキャッシュレス決済比率は、32.5%まで上昇したことを発表しました。以下はキャッシュレス別の比率です。

決済方法キャッシュレ決済比率
クレジットカード27.7%
デビットカード0.92%
電子マネー2.0%
QRコード決済1.8%
(出典:経済産業省「2021年のキャッシュレス決済比率を算出しました」)

※キャッシュレス決済比率は、それぞれのキャッシュレス決済で支払われた金額を民間最終消費支出で割った式で算出

日本の15歳以上の人口が1億1,000万人であることから、クレジットカード決済の利用者数は約3,050万人、QRコード決済の利用者数は約200万人と算出されます。

クレジットカード決済が20歳〜60歳代の方を中心に広く使われているのに対し、QRコード決済は若年層の利用が多いため、事業のターゲットによってどちらを導入するか絞り込みができそうです。

導入までの流れ

QRコード決済とクレジットカード決済のどちらを導入するか迷っている事業者は、導入までの流れを確認し、それぞれの開始時期に関しても知っておきましょう。

以下で紹介します。

QRコード決済導入までの流れ

QRコード決済にはPayPayや楽天Pay、LINE Payなど、数多くの種類が存在します

細かな手続きに違いが生じる可能性はありますが、基本的には通信環境を整えた上で加盟店申し込みを行い、審査に通れば決済端末を整えてサービスの利用開始となります。以下はざっくりとした流れです。

QRコード決済導入までの流れ
  1. 加盟店申込書に記入し、必要書類とともに提出
  2. QRコード決済事業者にて審査
  3. 審査完了
  4. 決済端末を整え、サービス利用開始

期間は加盟店によって異なりますが、大体10日前後を目安に考えると良いでしょう

また、加盟店申込書とともに提出する書類は各種営業許可証に加え、法人の場合は履歴事項全部証明書、個人の場合は事業証明書と本人確認などの書類が必要です。

利用するQRコード決済が指定する必要書類を確認し、不備のないよう揃えて提出しましょう。

クレジットカード決済導入までの流れ

クレジットカード決済の導入方法は、「直接契約方式」と「決済代行業者経由契約方式」の2つです。国際ブランドは、VISA、Mastercard、JCB、American Express、Diners clubの主に5種類があります。

全てを利用するためには、それぞれのクレジットカード会社と直接契約を結ぶために審査に合格する必要がありますが、大企業以外は審査が厳しくなる傾向があり、手間も時間もかかることがデメリットに。

ここからは、クレジットカード決済導入に関しては、決済代行業者経由契約方式で決済代行業者を利用した場合の流れを紹介します。

  1. 申し込み
  2. 決済代行業者にて審査
  3. 決済端末の準備
  4. サービス開始

依頼する決済代行業者にもよりますが、申し込みからサービス開始までは、約1ヶ月前後が目安です。

クレジットカード決済の導入にあたっても書類の提出が必要となりますので、法人契約・個人事業主としての契約の場合、何が必要かの確認を忘れないようにしましょう。

QRコード決済とクレジットカード決済の場合、申し込みや書類提出の過程は同じとなりますが、申し込みから実際にサービスが利用できるまでの期間に違いがあります。特にクレジットカード決済を導入したい方は、早めの申し込みを心がけると良いですね。

入金までの流れ

QRコード決済・クレジットカード決済それぞれの方法で決済された売上金額は、どのように事業者に入金されるか気になる方も多いですよね。

それぞれの入金までの流れをチェックしてください。

QRコード決済の入金までの流れ

下記のように、QRコード決済を利用して商品やサービスを購入してもらっても、すぐに事業者の指定口座へは入金されません。

QRコード決済の入金までの流れ
  1. QRコード決済で商品やサービスを購入
  2. 入金サイクルに従って指定口座へ入金

決済からどれくらいの期間で入金がされるかは、各QRコード決済の入金サイクルが重要となります。

5つの人気のQRコード決済サービスの入金サイクルを見ただけでも、違いがあることが分かります。

QRコード決済サービス最短入金日その他の入金日
PayPay【入金先がジャパンネット銀行の場合】
翌日入金
【入金先がジャパンネット銀行以外の場合】
・月1回入金:月末締め、翌月末払い
・月2回入金:15日締め、月末払い
          月末締め、15日払い
楽天Pay【入金先が楽天銀行の場合】
翌日入金
【入金先が楽天銀行以外の場合】
23:30までの依頼で翌営業日
LINE Pay【入金申請をした場合】
即日入金
【自動精算の場合】
月末締め、翌月初3営業日入金
d払いパートナー企業により異なる・15日締め、月末払い
・月末締め、15日払い
au PAY最短2営業日・15日締め、月末払い
・月末締め、15日払い
主なQRコード決済サービスの入金サイクル

即日入金に対応しているQRコード決済サービスもあり、早く売上金を手にしたい方は導入を検討すると良いでしょう。

クレジットカード決済の入金までの流れ

クレジットカード決済の入金までの流れも、QRコード決済と同じ流れとなります。

  1. クレジットカード決済で商品やサービスを購入
  2. 決済代行業者より指定口座に入金

お客様がクレジットカード決済で商品やサービスを購入した後、決済代行業者から指定口座に入金があります。基本的には下記のように売上確定処理をいつしたかによって入金日が決まります。

  • お客様の購入日と同月に売上確定処理:翌月末入金
  • お客様の購入日の翌月に売上確定処理:翌々月末入金

ただし、決済代行業者によって入金までに必要な期間が変わりますので、決済代行業者を利用する事業者は必ず入金までの期間を確認の上申し込みましょう。

QRコード決済の事業者側の3つのメリット

店員 笑顔

QRコード決済とクレジットカード決済の違いについて理解したところで、それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。

まずは、QRコード決済の事業者側の3つのメリットです。

QRコード決済の事業者側の3つのメリット
  1. 導入費用・決済手数料が安い
  2. 消費者側はスムーズに会計ができる
  3. 非接触型で衛生的

3つのメリットを詳しく説明します。

導入費用・決済手数料が安い

QRコード決済のメリットとして、導入費用・決済手数料が安い点が挙げられます。

QRコード決済サービス導入費用決済手数料
PayPay無料1.60%または1.98%
楽天Pay無料3.24%
LINE Pay無料1.98%
d払い無料3.24%
au PAY無料2.60%
主なQRコード決済サービスの導入費用・決済手数料

契約内容によって異なりますが、QRコード決済の中で最も利用されているPayPayの決済手数料は、最安値で1.60%です。

クレジットカード決済の決済手数料の相場が3%〜10%であるのに比べると、どのサービスの決済手数料もとても安く、経費負担が減るメリットがあります。

導入費用に関しては、導入費用自体は無料でも、別途端末購入を行う必要がある場合があるため、契約前に各QRコード決済サービスへ確認するようにしてください。

消費者側はスムーズに会計ができる

実際にQRコード決済で支払いをしたことがある方には想像つくと思いますが、QRコード決済での支払いはとてもスムーズに終わります。

QRコード決済の支払い方法
  1. 消費者のスマホにQRコードを表示してもらう又は事業者側が用意したQRコードをスキャンしてもらう
  2. 事業者は消費者のQRコードをスキャン又は消費者に利用金額を入力してもらう

消費者のスマホにQRコードを表示してもらい事業者側がQRコードを読み取る「ストアスキャン」か、消費者に事業者側が用意したQRコードをスキャンしてもらい金額を入力してもらう「ユーザースキャン」かで方法は異なります。

お客様にとってもスムーズに会計がしやすく、QRコード決済を利用できることで支払い方法に不安がないため、リピート客となる可能性も出てきます。

非接触型で衛生的

スマホを利用しQRコード決済を行うと、事業者側と消費者側が直接触れ合う必要がなく、非接触を保ったまま衛生的に支払いを終えられます。

現金でも手と手が触れ合うわけではないと思う方もいると思いますが、実はお金には目に見えないたくさんの菌が付着しており、お金を介すことで感染リスクがあるとの噂が囁かれています。

近年流行している新型コロナウィルスが、お札や小銭を介して人から人へ感染するリスクは低いとされていますが、なるべくであれば現金の利用は最低限に控え、QRコード決済を利用する方が、消費者側・事業者側ともに安心でしょ

QRコード決済の事業者側の2つのデメリット

QRコード スマホ

3つのメリットを見てきましたが、ここからは、QRコード決済の事業者側の2つのデメリットを見ていきましょう。

QRコード決済の事業者側の2つのデメリット
  1. QRコードのすり替えが起きる可能性がある
  2. 普及していない決済サービスもある

QRコード決済の導入を決める前に、どんなデメリットがあるかもしっかりと確認するようにしてください。

QRコードのすり替えが起きる可能性がある

QRコードが描かれた紙を事業者側で用意し、消費者側がQRコードを読み取ってアプリで利用代金を入力する「ユーザースキャン」の場合、QRコードをすり替えられてしまった場合、利用料金が第三者に送金されてしまう事態が起こる可能性があります。

ただし、この事案を懸念し、できるセキュリティ対策が存在し、下記の通りです。

  • 本人認証サービス(3Dセキュア)
  • 端末認証
  • 上限金額の設定

QRコード決済を導入する場合、リスクに対しての対策をしっかりと行った上で導入しましょう。また、QR決済サービスによっては、不正利用時の補償制度があるため、一部又は全額を取り戻すことも可能です。

利用するQR決済サービスがどのような補償を行ってくれるのかは、各会社で確認の上、導入の検討材料として取り入れましょう。

普及していない決済サービスもある

QRコード決済の利用者増加に伴い、各QRコード決済サービスも増加の傾向にありますが、どうしても普及率に偏りがあり、使いたいQR決済サービスが使えないデメリットが生じています。

QRコード決済サービス普及率
PayPay45.4%
楽天Pay16.7%
LINE Pay2.5%
d払い16.7%
au PAY13.5%
(出典:MMD研究所「2022年1月スマートフォン決済(QRコード)利用動向調査」)

MMD研究所が行った、QRコード決済を現在利用している人に、最も利用しているQRコード決済サービスについて聞いた結果、主なQRコード決済サービスの普及率は上記のようになりました。

QRコード決済の中で一番普及しているPayPayの普及率45.4%に対し、LINE Payは2.5%とその差は大きく開いています。

ただし、今後更にQRコード決済の利用者は増加が予想されているため、決済サービスの普及率も少しずつではありますが差が縮まっていくことでしょう。

QRコード決済がおすすめの事業者

ブティック

ここまで読んで、QRコード決済の導入意思を固めた方もいると思います。実際にQRコード決済がおすすめなのはどのような事業者なのかを見ていきましょう。

QRコード決済がおすすめの事業者
  • QRコード決済を利用している既存顧客が多い
  • コスパ良くキャッシュレスに対応したい
  • 衛生的な決済を行いたい

QRコード決済は、近年多くの方が利用し始めた決済方法です。

そのため、既存顧客でQRコード決済を利用している方が多い方や、導入費用や決済費用に多くの経費をかけず、コスパ良くキャッシュレスに対応したい事業者におすすめです。

また、支払いをスムーズに衛生的に行いたい事業者にとっても、QRコード決済は良い決済方法であると言えます。

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クレジットカード決済の事業者側の3つのメリット

クレジットカード決済

次に、クレジットカード決済の事業者側の3つのメリットを見ていきましょう。

クレジットカード決済の事業者側の3つのメリット
  1. 客単価を上げられる
  2. 未払いのリスクを減らせる
  3. 海外旅行客の決済に対応できる

以下で詳しく説明します。

客単価を上げられる

クレジットカード決済を行うと、現金のようにその場でお金が減った感覚が軽減されるため、現金払いに比べて高額商品も購入してもらいやすい傾向があり、客単価を上げられるメリットがあります。

少し前の資料になりますが、日本クレジットカード協会の調査によると、クレジットカード決済による購買単価は、現金決済に比べて、全業種平均で1.7倍という結果が出ました。

(出典:日本クレジットカード協会「観光立国実現に向けたクレジットカード業界としての取組に関する調査」)

キャッシュレス社会の推進が進んでいる今、クレジットカードは多くの消費者が持っている支払手段です。

クレジットカード決済に対応することで、飲食店であれば忘年会や新年会に利用してもらうなど、高額な売上が見込める団体客の獲得ができる可能性もあります。

未払いのリスクを減らせる

クレジットカード決済は、決済代行会社を間に挟んでいるため、未回収を防げるメリットがあります。

銀行振込などの場合、商品を用意して入金を待っていても、未払いによるキャンセルが起こりうる可能性がありますが、クレジットカード決済の場合は購入してもらえさえすれば、売上確定にも繋げやすいです。

また、現金支払いの場合、知らずに偽造紙幣を受け取ってしまい、本来の代金を手に入れられないリスクも考えられます。

クレジットカード決済であれば、お金のやり取りが発生しないため、偽造紙幣への対策も行えるでしょう。

海外旅行客の決済に対応できる

クレジットカード決済を導入すれば、海外旅行客の決済に対応できます。

日本でのキャッシュレス普及率は、いまだ30%を超えた程度と増加の傾向がありつつも低い割合となっていますが、外国人は半数以上がキャッシュレス決済の利用者です。

キャッシュレス決済が当たり前になっている海外旅行客にとって、クレジットカードが使えないことはわずらわしいでしょう。

販売機会を逃さないためにも、キャッシュレス決済の1つとして、クレジットカード決済の導入をぜひ検討してください。

クレジットカード決済の事業者側の2つのデメリット

クレジットカードを差し出す

クレジットカード決済にも、事業者側のデメリットが存在します。

クレジットカード決済の事業者側の2つのデメリット
  1. 決済手数料がやや高め
  2. 端末不具合が起きるとトラブルにも

特に決済手数料は、お客様の利用金額に応じてかかる金額のため、見逃せないチェックポイントです。

それぞれのデメリットを以下で説明します。

決済手数料がやや高め

QRコード決済の決済手数料が1%〜3%程度であるのに対し、クレジットカードの決済手数料はやや高めであるのがデメリットです。

クレジットカードの決済手数料は、売上規模や販売単価の差を理由に、業種ごとに異なります。

業種決済手数料
家電量販店・コンビニ等1.0%〜1.5%
デパート・百貨店2.0%〜3.0%
小売店3.0%〜5.0%
飲食店4.0%〜7.0%
店舗の業種による決済手数料の違い

上記の表はあくまで一般的な数字となりますが、業種により決済手数料率には最大6%近くの差があります。

決済手数料はクレジットカード決済を行った利用金額に応じて支払うものですので、自身の経営する業種と照らし合わせて、コストを算出し、導入を決めると良いですね。

端末不具合が起きるとトラブルにも

クレジットカード決済は、決済端末を利用し処理を行いますが、端末に不具合が起きた場合、支払いができないトラブルに繋がります。

端末の不具合により、支払いができないとなると、お客様の買い物の気持ちが落ちてしまったり、再来店の見込みがなくなってしまう可能性も否定できません。

お客様がクレジットカードしか持ち歩いておらず、現金の支払いを求めてもできない場合は、買い物を諦めて帰ってしまうこともありえます。

端末の不具合はあまり無い事例ではありますが、稀に起きるため、不具合が起きたときの対処法を講じておくと良いでしょう。

クレジットカード決済がおすすめの事業者

みやげを見る観光客

クレジットカードのメリット・デメリットを見て、クレジットカード決済の導入を決めた事業者もいると思います。

クレジットカード決済がおすすめの事業者は以下の通りです。

クレジットカード決済がおすすめの事業者
  • 客単価の高い店舗
  • 円での会計が多い店
  • 外国人観光客が訪れるお店

クレジットカード決済は、客単価の高い店舗や、円での会計が多い店での利用がおすすめです。

また、外国のキャッシュレス決済普及率は日本よりも高いため、クレジットカード決済を求める外国人観光客は、多くいると予想されます。

せっかく店舗を訪れてくれたお客様への販売機会を喪失しないためにも、クレジットカード決済を導入し、スムーズに支払いをしてもらえる環境を整えておきましょう。

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まとめ

政府がキャッシュレス化を推し進めていることを背景に、キャッシュレス決済は、もはや当たり前の日常風景です。

支払い方法が現金決済のみの事業者は、売上の拡大やリピーターの獲得を逃してしまうことになりかねません。

それぞれの決済がおすすめの事業者についても言及しているため、本記事を参考に、ぜひキャッシュレス決済の導入をしていってください。