電子レシートとは?利用者・導入者のメリット・デメリット〜おすすめのサービスを紹介

近年急速に普及している「電子レシート」とはどのような仕組みなのかご存知でしょうか。

「電子レシートってなに?」
「電子レシートにする意味って?」
「政府主導で電子レシートの導入を進めているって本当?」

そんな疑問に答えるため、この記事では電子レシートの特徴や利用者側、導入者側それぞれのメリット・デメリット、また政府が進める電子レシートの導入について解説します。

最後に実際の導入事例についても紹介するので、この記事さえ読めば電子レシートについて具体的なイメージが掴めるはずですよ。

電子レシートとは?

電子レシートとは、アプリなどを用いて電子的にレシートを発行する仕組みです。各会計ごとに個人認証を行うことで、電子データ化されたレシート(購買データ)が消費者へ送られます。

電子レシートは、従来の紙で発行されていたレシートと違い、電子媒体で受け取ることができるのが大きな特徴です。電子媒体であればパソコンやタブレット端末でも受領可能ですが、基本的にはスマホにインストールしたアプリで受け取る形が一般的でしょう。

電子レシートの普及は、消費者側と事業者側の両者に様々なメリットをもたらすと考えられています。

2020年にはPOSレジメーカーによる電子レシートシステムの無料提供が発表されるなど、コロナ禍の後押しも受けて今まさに注目を集めている仕組みです。

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政府も電子レシートの普及に積極的

民間企業だけでなく、政府も電子レシートの普及に積極的に取り組んでいます。

2018年2月には、経済産業省による試験的導入が東京都町田市で実施されました。町田市内のコンビニ・スーパーマーケットなど27店舗で電子レシートが試験運用され、その結果電子レシートの標準フォーマットが完成されたと発表されています。

また、2018年9月からは沖縄全域で半年に渡る導入プロジェクトも行われました。

このように、電子レシートの普及活動は政府が中心となり近年加速しています。その影響で昨今民間でもいち早く導入を進めている企業も存在することから、電子レシートの普及はより流れを強め広がっていくと考えられます。

電子レシートのメリット

電子レシートについてより深く理解するためには、導入によって利用者にもたらされるメリットについて知る必要があります。

急激に普及し始めている電子レシートですが、導入によってどのようなメリットがもたらされるのでしょうか。

電子レシートを使用する対象は、消費者と事業者の2つに分けられます。ここでは、電子レシートの導入が両者にもたらすメリットについて、それぞれ解説していきます。

消費者側のメリット

レシートのペーパーレス化のメリットとしては、財布にレシートが貯まるわずらわしさや、レシートを保管する手間がなくなるので、重要なレシートの紛失も防止できるできることが挙げられます。

また、ペーパーレス化は地球環境にとっても良い影響をもたらすと考えられます。紙レシートが必要ない人は発行直後に捨てることが大半ですので、紙レシートの発行が必要なくなればエコにつながります。

それだけではなく、購買データをアプリなどで活用することも可能です。例えば、家計簿アプリや健康アプリを用いて家計簿を自動で作成したり、食品のカロリーを自動で計算させたりもできます。電子化された購買データを活用すれば、経費精算や確定申告などの効率も格段に上がるでしょう。

事業者側のメリット

レシートの紙代や印紙代などの経費削減は、事業者にとってのメリットのひとつです。レシートに使用される紙は年間で約5.4トンと言われ、約960億円もの費用がかかっています。そのため、紙レシートを発行するための経費を削減できれば、各企業の利益の向上にもつながるでしょう。

また、ほかにも紙レシート発行の場合だと、メンテナンスなどの作業も必要でした。レシートに関わる様々な工数が電子レシート発行システム1つに代替されることで、レジの混雑緩和や人件費も削減できると考えられます。

それだけではなく、電子レシートによって得た購買データを広告や集客などのマーケティングに活用できる点も大きなメリットです。

電子化された購買データはクラウド上で簡単に整理することが可能なため、さらにそれを分析することでマーケティングにも活用することが可能です。具体的には、ターゲットにピンポイントで広告を表示させたり、セール情報を配信することもできるでしょう。

蓄積された購買データを通して消費者の詳しい動向や購買傾向を知ることもできるため、様々な経営判断をする際の貴重なデータとすることができます。例えば、データをもとに事業計画を見直したり、新しいプロジェクトを打ち出すことも可能です。

電子レシート普及には政府も乗り出しているため、導入している店舗に対して助成金が支給されるといった導入を促す施策がとられる可能性も大いにあります。そのため、基本的には前向きに検討するのが良いと言えます。

電子レシートのデメリット

電子レシート導入にはさまざまなメリットがある反面、デメリットも存在します。ここでは電子レシート導入がもたらすデメリットについて、消費者側と事業者側の両方から紹介していきます。

消費者側のデメリット

電子レシートがもたらす消費者側のデメリットのひとつが、セキュリティ問題です。

従来の紙というアナログ媒体の場合は、実在する紙レシートをしっかりと管理していれば情報が流出する危険性はありませんでした。しかし、データ化された購買情報はネットワーク上を行き来します。

そのため、購入先の店舗が導入している電子レシートシステムに万が一セキュリティ上の問題があった場合、第三者に情報が流出してしまうリスクがあります。紙レシートの場合、例え紛失したとしても購入者が特定されることはありませんが、電子レシートの場合意図しない情報流出の危険性があると言えます。

もちろん、電子レシートが導入される際には強固なセキュリティ対策が講じられることでしょう。ですが、ネットワークの性質上、流出のリスクをゼロに抑えることは不可能です。

また、電子レシートを利用している場合、スマホなどにデータが集約されています。そのため、スマホ上に様々な情報が集まることによって、スマホを紛失した際のリスクが高まってしまうと言えます。

インターネット上でのデータ流出は電子レシートに限った問題ではありませんが、利用者は今以上にスマホのセキュリティに気を付ける必要があります。

事業者側のデメリット

事業社側のデメリットとして、電子レシート導入にはある程度のコストが求められる点が挙げられます。

まず、電子レシートに対応したレジやシステムを用意する必要があるでしょう。電子レシートに対応していないレジは取り替える必要がありますし、得られたデータを活用するためにはさらに事業社側で新しいシステムを導入する必要があるかもしれません。

もちろん、導入に必要なコストは金銭的なものだけではありません。レジの入れ替えはもちろん、新しいシステムに合わせた業務フローを作り直さなければならないことを考えると、ある程度の時間と手間もかかります。

電子レシート導入には一定以上のメリットが見込まれますが、導入コストなどのデメリットについても考慮して判断する必要があるでしょう。

電子レシートの導入事例

電子レシートはこれから広く普及していくと予想されます。そして、既に現場での導入を進めている事例も多数存在します。

ここでは、実際に電子レシートを導入した事例と、電子レシート導入がもたらした影響について各事例を通して見ていきましょう。

ここでは以下の4つの事例について紹介します。

  • ビックカメラ
  • 渋谷PARCO
  • コープ東北
  • かとりストア

電子レシートの導入事例①:ビックカメラ

大手家電量販店であるビックカメラは、いち早く電子レシートを導入した企業のひとつです。ビックカメラの場合は、自社アプリに電子レシート機能を搭載しました。

ビックカメラの電子レシート機能は通常の購買データ管理だけでなく、下記のような機能を搭載しています。

  • 購入履歴から再度商品を注文できる
  • 保証加入状況をアプリ内で確認できる
  • 紙のレシートが必要な場合にもその都度発行できる

このように、自社アプリを通じて消費者にメリットをもたらせれば、新規顧客の獲得や満足度の向上などにも好影響を与えるでしょう。

電子レシートの導入事例2:渋谷PARCO

渋谷PARCOは、複数のキャッシュレス決済の導入と並行して公式アプリ利用者向けに電子レシートの提供を始めました。PARCOの公式アプリを使えば簡単に電子レシートを受け取れますし、アプリ内でレシートの集計も容易に行なえます。

このように公式アプリに対して電子レシート機能を付与する形をとることで、公式アプリの利便性や使用者への恩恵が増え、アプリ使用者の新規獲得にも役立つと考えられます。

さらにPARCOは、アプリの利用データとあわせ購買データを分析し、ユーザーにマッチするコンテンツや商品の通知などに活用する予定です。このように、より効果的な販促活動のためにデータを活かすことができるのが、電子レシートの大きな強みです。

電子レシートの導入事例3:コープ東北

コープ東北は、電子レシートサービスである「スマートレシート」を導入しました。「スマートレシート」は東芝テック株式会社が提供する電子レシートサービスの名称です。

コープ東北ではじめて電子レシートが導入されたのは、2014年11月。コープ東北内の「みやぎ生協」で試験的に導入が開始されました。

当時は電子レシートの登場からまだ間もない時期で、現場で導入されるケースは全国的に見てもほとんどなかったため、コープ東北の導入はかなり先駆者的な存在であったと言えます。

当初は試験的な導入でしたが、結果「スマートレシート」へのユーザーからの評判はとても良かったと言います。そのため、利用者からの高評価を受け他の生協にも導入が拡大され、現在ではコープ東北内のほとんどの生協で導入されています。

電子レシートの登場直後である時期にも関わらずユーザーから好評を博し、瞬く間に導入が拡大されていったのです。

このような事例からも、電子レシートが持つ可能性の高さが伺えるでしょう。

電子レシートの導入事例4:かとりストア

かとりストアは、長崎県内のスーパーマーケットとして初めて電子レシートを導入しました。

かとりストアは、電子レシートの導入によって印紙代や人件費の削減、レシートに関わる業務の効率化を目指しています。また、今後は外国人客のための多言語化や、お薬手帳との連携など、機能の拡張を実施予定です。

電子レシートを導入する企業は、単にレシート発行業務の効率化だけではなく、従来の紙レシートには無かった電子レシートならではの利点を活かす取り組みに注力する傾向にあるようです。また、かとりストアのような全国展開ではない地方のスーパーマーケットでも、電子レシートを導入する事例が少しずつ増えています。

抽選キャンペーンが可能!おすすめ電子レシートサービス6選

おすすめの電子レシートサービスを6つ紹介します。

  • デジコ
  • SBGift
  • ECAI(イーシーアイ)
  • Visaギフト
  • Square ギフト
  • スマートレシート

各社によって料金交換可能先が異なります。順番に比較していくので、電子レシートの導入を検討している法人・店舗事業者はぜひ参考にしてください。

デジコ

引用:デジコ
月額・初期費用0円(無料)
API連携0円(無料)
最低発行額1円~
交換先AmazonギフトiTunes/Google PlayANA・JALマイル楽天Edy/WAON
支払い方法後払い

デジコは、1円から発行できるデジタルギフトサービスです。PayPayやAmazonギフト券など選べるギフトは6000種類以上あり、レシート応募から当選者への景品発送まですべてオンライン化できるキャンペーン施策の導入もできます。

コストもあまりかからず、シンプルな機能性のため、導入するだけでワンストップで運用できます。多くの企業にも導入されているため、安心した電子レシートサービスを利用したい企業におすすめです。

SBGift

引用:SBギフト
初期費用0円 ※無料
月額費用0円 ※無料
交換先セブン-イレブン/モスバーガーケンタッキーフライドチキンサーティワン アイスクリーム など
支払方法後払い

SBギフトは、ソフトバンクグループが運営するデジタルギフトサービスです。大手企業の信頼感が強いのサービスと言えるでしょう。セブン-イレブンやモスバーガーなど豊富な種類の中からギフトを送れます。

バーコードをセブン-イレブンなどの全国の利用可能店舗に持っていくと目当ての商品と引き換え可能です。SNS上でのキャンペーン施策も実施できるので、店舗マーケティングをしたい方にもおすすめのサービスでしょう。

ECAI(イーシーアイ)

引用:ECAI
初期費用0円
月額費用フリー:無料拡張プラン:9,800円~
注文/予約手数料0円
無料トライアルあり

ECAIは、LINE公式アカウントを活用し、顧客管理や集客を行うLINE公式アカウント機能拡張ツールです。1,400社近くの取引先を抱え、多くの企業に導入されています。

セグメント配信、ステップ配信、カート連携など機能をグレードアップして、アカウントの構築が可能です。LINE公式アカウントを通して、キャンペーンを実施に興味がある企業はぜひ試してみましょう。

Visaギフト

引用:Visaギフトカード(カードタイプ)のご案内
初期費用0円 
月額費用0円 
額面デジタルギフト:500円~100,000円ギフトカード:3,000円~100,000円※1円単位で指定可能
発行手数料5.0% 
オリジナルデザイン対応可能 

VISAギフトカードは、初期費0円から始められる法人向けのデジタルギフトカードです。コンビニやスーパー、飲食店〜ネットショップ、大手通販サイトまで幅広く利用できます。

SNSのキャンペーンだけでなく、社内のインセンティブ付与や記念品・特別賞与の社内施策にも活用できるため、大手・中小企業に関わらず、さまざまなシーンで活用されています。アプリダウンロードはせずに、スマホとネット環境ですぐに実行できるので、難しい操作も不要です。

Square ギフト

引用:ギフトカード・プリペイドカードの発行 | Square(スクエア)
初期・月額費用0円
手数料3.25%~
種類デジタルeギフト:無料テンプレート作成:150円/枚カスタムデザイン:120円/枚

Square ギフトカードは、ギフトカードの作成・送付が手軽にできるサービスです。InstagramやTwitterなどのSNSキャンペーンでの効果測定や顧客の利用履歴・ポイントの管理などもできます。

また、実装されているテンプレートから電子ギフトやオリジナルギフトカードを手軽に作成できるため、デザインセンスが無くても無難なギフトカードを送付できるでしょう。電子ギフト(無料)・背景画像テンプレート(150円)・カスタムデザイン(120円)の3種類からギフトカードを選べるので好みのものから試してみましょう。

スマートレシート

引用:スマートレシート
初期・月額費用0円
手数料電子レシート機能:無料

スマートレシートは、大手企業東芝テックが運営するスマートレシートサービスです。スマホ内でいつでもレシートを確認でき、バーコードを読み取るだけで、手軽にキャンペーンに参加できます。

継続利用希望者が91.5%と多くの人が機能性をよく感じており、紙レシートも電子レシートへの変換が可能です。

普及の拡大が予想される電子レシートを活用しよう!

様々な付加価値が存在する電子レシートは、今後従来の紙レシートに代わることが予想されます。

最後に、この記事で紹介した電子レシートのメリット・デメリットについておさらいしてみましょう。

メリット

紙レシートのわずらわしさや保管にかかる手間がなくなる
ペーパーレス化はエコにもつながる
レシートの紛失が防止できる
経費精算や確定申告の効率化が図れる
レシートに関するコストや手間が削減される
消費者の購買データをマーケティングに活用できる


デメリット

事業者、消費者両方でのセキュリティ対策が必要になる
導入のためのコストがかかる

今後より普及が拡大していくためには、セキュリティ問題などのいくつかのデメリットをクリアする必要があります。しかし、電子レシートはそれ以上に大きなメリットを持っていることも事実です。より一層導入が進めば、電子レシートが従来の紙レシートに取って代わる未来も近いのではないでしょうか。