飲食店の目安の「電気代平均相場」とは?節約・削減する方法も解説

輝く電気

飲食店を経営するうえで無視できない固定費のひとつが「光熱費」です。

厨房機器や空調、照明など営業に必要な設備を長時間使用するため、他業種に比べて電気使用量が多いのが飲食店の特徴です。

気づかないうちに光熱費が経営を圧迫している…というケースも少なくありません。

「自分の経営している飲食店の電気代はもしかして高い?」

「電気代を節約・コスト削減する方法はあるの?」

そんな飲食店経営者へ、電気代の平均相場やコスト削減方法をご紹介します!

まずは飲食店の目安の電気代平均相場を確認し、自分が経営する飲食店の電気代の比較をしながら見直してみてください。

飲食店の電気代の平均・相場は?

電卓

飲食店営業にかかる電気代の1ヶ月平均相場は、売り上げの約3~7%が一般的と言われています。

店舗規模・業態使用量平均月額電気代の目安
小規模飲食店(~10坪程度)500〜1,000kWh約2〜5万円
中規模飲食店(10~20坪程度)1,000〜2,500kWh約5〜10万円
大型店舗・チェーン店3,000kWh以上約10万円以上

※単価30円/kWhの場合で算出

上記の表はあくまで目安ですので、営業時間や店舗の面積によっても異なりますが、電気代が1カ月の平均相場を大幅に上回っているようであれば、見直したほうが良いでしょう。

以下では3つの飲食店の電気代をまとめました。

パン屋の電気代

パン屋は月に約10万円の電気代がかかります。
常にパンを焼いているため、その他の光熱費を合わせると最大20万円ほどの電気代が毎月かかります。

電気代が高くなりやすい主な理由としては、


・オーブンの消費電力が非常に大きい
・冷蔵/冷凍設備が常時稼働している
・早朝からの長時間営業

などが挙げられ、特に夏や冬は空調の影響も出てきます。

飲食店の中でも電気代がかかる業種の1つといえるでしょう。

喫茶店(カフェ)の電気代

喫茶店(カフェ)を運営する店舗の面積や座席数により料金は変動しますが、喫茶店の電気代の平均は、月に1.5万〜4万円程度となっています。

喫茶店(カフェ)の電気代が高くなる大まかな理由としては、


・コーヒー機器などの専用機器の稼働
・24時間稼働の冷蔵ショーケース
・業務用冷凍庫・冷蔵庫

などが挙げられます。店舗内のインテリアにこだわりを持っている方はさらに電気代の増加の要因となります。

月に1.5万〜4万円程度となっているので、その金額以上になっている場合は見直しを検討してみても良いかもしれません。

コーヒーとペンカフェ(喫茶店)にかかる光熱費の平均は?毎月のランニングコスト〜節約/削減する方法を解説

居酒屋の電気代

居酒屋の電気代は5万円〜10万円程度です。
他の業種と同様に店舗面積や座席数、営業時間により変動があります。

居酒屋の電気代が高くなる理由としては、


・営業時間が夜~深夜に集中しやすい
・照明・看板・BGMなどの演出機器の利用
 (夜の照明・空調使用時間が長く、電気の使用量も増加しがち)
・厨房機器の使用時間が長い
 (厨房は高消費電力機器が多数あるため電気代も増加)

が挙げられます。
特に居酒屋は店内の煙やにおいの対策で強力な空調・換気システムを使用している場合もあり、基本料金のアップの原因のひとつです。

居酒屋 水道光熱費 アイキャッチ居酒屋の水道光熱費の目安は?削減する方法も解説

飲食店全体の電気代の平均と相場は?

飲食店のキッチン

冒頭でも触れましたが、飲食店営業にかかる電気代の1ヶ月平均相場は、売り上げの約3~5%と言われています。

居酒屋の場合、厨房のガスや電気の占める割合が53%、続いて空調と照明がそれぞれ20%と続きます。

さらに飲食店の場合は長時間稼働されるケースが多いため、電気代の定期的な見直しや省エネのものに買い替えることなども節約するうえで重要なポイントです。

飲食店全体の電気代の平均と相場はどのくらいなのか以下で詳しく説明します。

飲食店の平均電気代が高い3つの理由とは?

①業務用の設備が常に稼働しているから

飲食店では厨房機器(冷蔵庫・冷凍庫)など24時間365日常に稼働しているケースがほとんどです。
オーブンやグリルなどを使用する飲食店はさらにコストがかかります。

また夏や冬は空調設備も稼働している時間が長いので、特にランチやディナータイムには消費電力が集中しがちです。

厨房機器や空調設備など長年使用しているものであれば、最近ではエコ空調設備に切り替える事や、省エネ効果のあるものに切り替えることで、電力削減が可能になります。
買い替える場合は、経済産業省の補助金制度も活用できるため、検討するのもひとつの手かもしれません。

②電気料金が値上がりしているから

近年、電気料金の値上げが上昇傾向にあります。
これらは一般家庭だけではなく、飲食店の経営にも大きなダメージを受けていると考えられるでしょう。

値上がりの主な要因としては、燃料費の高騰再生可能エネルギー発電促進賦課金の増額などの要因が挙げられます。この賦課金は再生可能エネルギーの普及促進のために全電力が利用者負担にするもので、年々増加傾向にあります。

上記から年間ベースで考えると、店舗の規模によりますが中規模の飲食店で4~6万円程度の電気代増加となり、
経営に深刻な影響をもたらしています。

③契約している電力プランが合っていないから

飲食店でも一般家庭向けの従量電灯プランをそのまま使用している店舗も少なくありません。
飲食店の電力使用パターンに最適なプランを選ぶことで、大幅な電気代のコスト削減が見込める可能性もあります。

まずは現在契約している電力プランを見直すことが重要なポイントとなってきます。

電力会社の例として以下が挙げられます。

  • ENEOSでんき
  • ハルエネでんき
  • 地域創生電力
  • ソフトバンクでんき
  • 東京ガス  etc…

新電力は数多くの企業があり、自社のサービスとのセット割でさらにお値打ちになるプランもあるため、一概にここが良いとは言えません。

電気代を比較するためのシミュレーションサイトもありますのでそれらを活用しながら最適なプランを選んでいきましょう。

今すぐできる!飲食店の電気代を下げる具体的な方法は?


飲食店を経営している方の中には電気代が最近高いな・・・と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
飲食店を経営する上で固定費の削減は重要課題です。
ここでは飲食店の電気代を下げる具体的な方法をご紹介します!

業務用冷蔵庫・冷凍庫の節電方法

業務用の冷蔵庫・冷凍庫や厨房機器など、飲食店の電気代は他業種に比べてコストがかかる傾向があるものの、少し機器関連を見直すことや少し意識しただけでもコスト削減できる可能性があります。

業務用の冷蔵庫・冷凍庫は飲食店の電気代の中でも特に大きな割合を占める設備です。
24時間365日常に稼働し続けるため、電気代にも大きな影響をもたらすでしょう。

業務用冷蔵庫の最適な温度設定は以下となります。

推奨設定温度:冷蔵室0~5℃、冷凍室-15℃以下

1℃下げることで約6~10%の電力消費が増加するといわれています。
食品安全を保ちながら、温度管理基準(10℃以下及び-15℃以下)を守りつつ、可能な限り高めの温度設定に変えるのもポイントです。

また-15℃以下以上の設定は電力消費が大幅に増加します。夏は外気温上昇を考慮し1~2℃低めに設定し、季節に応じた微調整も食品を安全に保つためには大事なポイントになります。

さらには扉の開閉回数も意識してみることで電気代のコスト削減に繋がります。

(参照:HACCPに準拠した冷蔵庫の温度設定で食材を安全に保管しよう – 食品衛生管理サポート)

エアコン・空調機器の運用見直し

エアコン・空調機器については少し前述しましたが、エアコンや空調機器も電気代に大きく影響してくるひとつといえるでしょう。特に夏や冬のピーク時には、電力消費が全体の30~50%を占める場合もあります。

「室内の冷えが悪いから温度を下げる」「お客様の要望に応えて強風にする又は温度を下げる」など何気ない運用が電気代のコスト増加の原因かもしれません。


エアコンの適正な温度設定は以下のようになります。

・冷房28℃/暖房20℃を目安に設定
・サーキュレーターや扇風機を併用することで

 室内の空気の回転率を良くする
・冷房設定を大幅に下げている場合は1℃高くするだけでも約10%の 節電効果

(参照:飲食店の電気代の平均額とは?電気料金を抑える方法も詳しく紹介)

近年夏の外気温は命にも関わるような暑さで、涼しい室内を選ぶ人も少なくありません。
そのため、温度を下げることも一概に否定できないケースもあります。

そんな状況でもコスト削減するには、飲食店に設置している空調やエアコンを見直してみてください。
長い年月使用しているものであれば、新しく買い替えることでコストを少し抑えることができるかもしれません。

また最新の業務用冷蔵庫やエコ空調機器に切り替えることで最大30%の電力削減が見込むことが可能になります。


経済産業省の補助金制度も活用できるため買い替える事もひとつの選択肢といえるでしょう。

照明をLEDに切り替える

照明をLEDに切り替えることも重要なポイントになってきます。

LED照明が白熱電球や蛍光灯と異なるポイントを表にしました。

比較項目白熱電球蛍光灯LED
消費電力高い中程度低い
寿命約1,000時間約6,000時間約40,000時間以上
発熱量高い中程度低い
即時点灯

(参考 Panasonic|公式HP /アイリスオーヤマ|公式HP/東芝ライテック株式会社|公式HP)

上記は目安となる表ですが1個当たりのLED照明の寿命時間を見ても、節約効果が期待できる確実な方法といえるでしょう。

またLED照明は発熱が少ないため、夏場の空調負荷が軽減されます。
さらには即時点灯で営業前の準備がスムーズになるメリットもあります
照明以外にも間接的なコストダウンが可能
になります。

LED照明に切り替える場合の注意点としては、電球型と直管型で種類が異なるため、既存の照明器具との互換性を確認しましょう。信頼性あるメーカーを選ぶことで保証期間や品質面の不安も解消できます。

屋根や窓の断熱対策

屋根や窓の断熱対策も重要なポイントです。飲食店の電気代を左右する要因のひとつが、冷暖房機器の使用頻度と効率性です。

特に夏や冬は来店客の快適性を保つために不可欠ですが、電力消費量が大きく、月々の光熱費を圧迫する原因になります。

場合によっては機器を買い替えるよりもコストを抑えつつ、空調の効率を大幅に高めることも可能です。

屋根の断熱対策をすることで夏は直射日光の熱を遮断し、冷房負荷を軽減することが可能です。
また窓の断熱対策では外気との熱交換を防ぎ、冷暖房効果を最適にすることです。
さらにガラス面から熱の70%が出入りしている
とも言われています。

具体的な窓の断熱対策としては、

断熱フィルムの貼付:赤外線カット効果で夏は冷房効率UP、冬は暖房熱の流出を防ぐ
・二重サッシや内窓の設置:外気との間に空気層を設けて断熱効果を強化する
・遮熱ブラインド・カーテンの使用:日中の直射日光を遮りつつ、室温の安定させる

これらは初期投資が比較的安く済むものもあるので中長期的にみてコスト削減が実現可能となるでしょう。

屋根や窓の断熱対策は、店舗の「快適性」と「コスト削減」の両立が可能になるひとつです。
まだ取り入れていない方はぜひ参考にしてみてください。

飲食店の電気代削減には電力会社の切り替えがおすすめ

これまで身近な部分でコスト削減できる方法をご紹介しましたが、すべて意識していてもなかなか電気代が安いと感じられない方やずっと同じ使用量なのに利用料金が年々高くなっていくなど飲食店経営において今の電力会社が最適なのか悩まされているケースも少なくありません。

2016年から電力自由化によって新電力会社との契約が自由にできるようになりました。
そのため地域の電力会社よりも安く、飲食店に特化した料金プランで利用することが可能になります。

電気代を削減するためには電力会社の切り替えもかなり重要なポイントになります。
ここでは電力会社はどこがおすすめなのか、3社比較しながらご紹介します。

ハルエネ電気地域創生電力ENEOSでんき
供給エリア
契約対象個人・法人個人・自治体施設個人・法人
初期費用無料原則無料無料
工事の有無無し(スマートメーター未設置の場合は設置工事あり)無し(左に同じ)無し(左に同じ)

ハルエネでんき

ハルエネでんきは中小企業・店舗向けに特化した電力サービスを展開しています。
使用量が少なければ大手電力会社より安くなりやすいため、低電力使用店舗におすすめです。全国どこでも利用でき、品質は変わりません。

ハルエネでんきは主に飲食店・美容室・オフィスなど小規模事業者向けのプランが充実しており、最適なプランで使用できるところが特徴です。


さらに動力プランあるので、大型厨房機器がある店舗にも対応しています。
利用状況にあったプランで大幅なコスト削減も期待できるかもしれません。

契約期間は1年となり、その後は自動更新で継続で使用できます。

ハルエネでんきは店舗トラブル対応オプションもついているため、万が一トラブルが発生した場合や初めて電力会社の切り替えをするという方も安心して切り替えることが可能になります。

表に記載した工事の有無ですが、基本的に工事は3つの電力会社も不要になります。
しかしスマートメーカーが設置されていない場合には一般電気事業者がスマートメーターを設置する必要があります。これは比較している3社とも同じ対応が必要です。

(参照:株式会社ハルエネ | サービスサイト)

地域創生電力

地域創生電力は、商工会や自治体などと連携しながら、地域の再生可能エネルギーを活用して電気を供給する新しいスタイルの電力会社です。
地域の送配電を使用して電気を供給するので、切り替えにより電気の品質が落ちるということはありません。

特徴としては導入したいとなった際に導入方法が簡単という点です。

現在契約中の電力会社への解約手続きは地域創生電力にて行うため、契約者による手続きは不要です。
申込むだけで始められるためスムーズに切り替えることが可能になります。

地域創生電力は一般社団法人日本卸電力取引所の電力市場価格が一定の基準を超えた場合に、電気料金の一部のお支払時期を繰り延べることを特色とするFプランがあるため、電気の月額料金の変動幅を抑えることが可能になります。

業種ごとに特化した応援プランがあるため、利用状況を把握しながら最適なプランに切り替えることができます。

利用できるエリアや料金感は問い合わせが必要になるため、気になる方は一度問い合わせしてみると良いでしょう。

(参照:株式会社地域創生ホールディングス)

ENEOSでんき

ENEOSでんきは石油大手のENEOSが提供する電力サービスです。
法人・個人問わず全国で利用できるのが特徴で安心感と信頼性のある電力会社ともいえるでしょう。

またENEOSでんきへの切り替えは非常に簡単で、切り替えにかかる手数料も無料なので追加のコストを気にすることはありません。

さらにENEOSでんきに加入するとポイント還元もありますが、Vポイントは貯まらないため注意が必要です。

ENEOSでんきは沖縄・離島以外の全国で利用が可能な点や切り替え手続き、電気料金等の請求書・支払先の一本化など業務効率化のサポートが豊富です。

こちらも料金感が気になる方はぜひ問い合わせしてみてください。

(参照:法人のお客さま向け電気販売|ENEOS)

乗り換え時に気を付けるべきポイントは?

電力会社の切り替えはコスト削減に直結する有効な手段ですが、気を付けるべき注意点もあります。

まず確認すべきは「契約中の違約金や解約条件」です。
特に法人契約では、最低契約期間を設けているケースが多く、途中解約に手数料がかかる場合があります。

また、新しい電力会社の「料金体系(基本料金・従量料金)」や「燃料調整費の仕組み」もチェックしましょう。中には、市場連動型で価格変動が大きいプランもあるため、月々の変動リスクを理解することが重要なポイントです。

電力会社は飲食店の規模に合ったプランを提供してくれる電力会社を選ぶと安心できるでしょう。
それに伴い、急なトラブル時にも対応してもらえるサポート体制が万全な電力会社がおすすめです。

実際に電気代を削減した飲食店の事例

ここでは電気代の高騰が続く中、実際に電気代の見直しを行い電気代の削減に成功した事例をご紹介します。
どんな取り組みで削減に成功したのか、どのくらい安くなったのかぜひ参考にしてみてください。

事例①洋食レストラン


【業態】
洋食レストラン(40席程度)
月々の電気代:約6万円

【取り組み内容】
 電力会社を「ハルエネでんき」に切り替え

【結果】
 月々約3,000円、年間3万円以上のコスト削減に成功
 

事例②カフェB店

【業態】
 カフェ(15席程度)
 営業時間:9:00〜18:00
 月々の電気代:約3万円

【取り組み内容】
 店内照明と外看板照明をすべてLEDに交換
 電力会社を「ハルエネでんき」に変更し、定額プランを採用
 閉店30分前から一部照明を間引き・エアコンを自動OFF設定
 補助金制度を利用し、冷蔵ショーケースを省エネモデルに入れ替え

【結果】
 電力量削減:約20%
 電気代単価の見直しにより請求額が安定
 月々約12,000円の削減(約40%)、年間14万円超の節約効果

まとめ

今回は飲食店の電気をコスト削減する方法をご紹介しました。

まずは経営している飲食店の現状を把握し、身近なことから意識していくことが重要となってきます。
経営している飲食店内の設備等は年月が経過していないか、省エネ効果のあるものか、確認してみると良いでしょう。何気ない行動の中にも、意識することで節約できそうな部分があるケースも少なくありません。

また電力自由化により自分で選ぶことができるようになった現在、再度電力会社を見直してみるのも重要なポイントとなってきます。

実際にコスト削減に成功した事例も参考に、電気代が気になる方はぜひ電力会社の切り替えも検討してみてください!