飲食店の仕入れはどうする？業態別に選ぶべき仕入れサイト9選【開業初期〜小規模店向け】

飲食店を開業する際、意外と多くの人が最初に直面するのが「仕入れをどうするか」という課題です。
「仕入れ」と一口に言っても、市場に出向くのか、業務スーパーで揃えるのか、卸業者と契約するのか———
どれが自店に適しているのか判断できず、開業後にロスや資金繰りの問題が表面化するケースは少なくありません。

とくに開業初期は、以下のようなリスクが重なりやすいのが実情です。

つまり、仕入れの「量」や「支払いサイクル」、「効率」の選び方が、そのまま経営の安定度に直結します。

そこで本記事では、この開業初期の悩みを解決する手段として、小規模店や個人店でも始めやすい「仕入れサイト（ECサービス）」に焦点を当てて解説します。読み終える頃には、自店にとって現実的に選ぶべき仕入れ先の方向性が明確になるはずです。

「飲食店の仕入れルートを理解しよう」

市場（中央市場・地方市場など）

市場は、魚・野菜・肉などを直接目利きして仕入れられるルートです。
「鮮度」と「専門性」を重視したい店舗にとって理想的な仕入れ先です。
ただし朝が早く、現金取引・ロットの大きさ・搬入手段など、個人店にとってハードルが高い点もあります。

卸（中間業者・専門商社）

業務用の大量仕入れや専門ジャンル（肉・酒・調味料など）に強く、飲食店の多くがメインの仕入れ先として利用しています。また、安定供給や品質の均一性にも優れています。
ただし「初回取引には実績・信用が必要」な場合があり、開業直後は契約が難しいこともあります。

生産者から直接仕入れる（産直・農家・漁師など）

産地直送や地元の農家、漁師から直接食材を購入する方法。
独自性・新鮮さ・ストーリー性が打ち出せ、地域密着型の強みを持てます。
一方で、流通・物流が個別対応になるため、安定供給や納期の面ではリスクとなります。また、生産者との交渉や配送手配を自分で行う必要があります。

小売店（業務スーパー・量販店など）

最も手軽な方法で、サブの仕入れ先として活用されます。また、開業準備中や仕入れ先が定まる前に多く利用されます。現金即決で購入でき、誰でもすぐ始められるのが利点です。
ただし、原価率が高めで、品揃えや品質の安定性には限界があり、業務拡大には向きません。

仕入れサイト（ECサービス）

近年急速に広まっている、スマホやPCから注文できる仕入れルートで、本記事で最も焦点を当てるのが、この「仕入れサイト」です。小ロット・全国対応・後払い対応など、開業初期の課題を最もカバーしやすいのが特徴です。
比較も簡単で、複数サイトを併用しながらリスクを抑えて始めることができます。
一方で、購入金額によっては配送料がかかったり、写真や説明文だけで商品を判断する必要があります。

各仕入れ方法の特徴比較（ひと目で分かる〇✕表）

ネットで仕入れるメリット

飲食店の仕入れルートはさまざまありますが、ネットの仕入れサイト（ECサービス）は、従来の市場や卸売業者からの仕入れが抱える「小ロット」「信用」「時間」の課題を解決してくれます。特に開業初期の小規模店にとって、サイト経由の仕入れは以下のような大きなメリットをもたらします。

開業初期は小ロットが絶対条件になる

前章でも触れた通り、従来の卸売業者や市場では、大量発注（大ロット）が取引の基本となることが多くあります。しかし、開業初期の飲食店では、売上予測が難しく、メニューの人気も読めません。
この段階で「まとめ買い」をしてしまうと、在庫ロスや冷蔵・冷凍スペース不足に直結します。

・食品ロスを最小限に抑えられる
売上が安定しない時期に大量に仕入れると、使い切れずに廃棄する「食品ロス」が発生し、結果的に原価率を押し上げます。仕入れサイトの多くは、小分けパックや1個・1パック単位の「小ロット」発注に対応しているため、ロスの心配をせずに必要な分だけ仕入れが可能です。

・在庫スペースを節約できる
小規模店では、食材の保管スペースにも限りがあります。小ロットで頻繁に発注できる仕入れサイト利用なら、過剰在庫を抱える必要がなく、冷蔵庫や冷凍庫のスペースを有効活用できます。

信用・実績がなくても取引を始めやすい

従来の卸売業者と取引を始める際には、「口座開設」や「審査」が必要です。開業したばかりの店舗は、経営実績や信用情報がないため、掛け払い（後払い）の契約を断られたりするケースも少なくありません。

仕入れサイトの多くは、飲食店を対象としていても、クレジットカード払いや代引き、サイト独自の決済システムに対応しているため、面倒な審査や保証金なしに、登録後すぐに取引を開始できます。
また、仕入れサイトによっては、開業前の登録・テスト発注にも対応しており、「まず試す ⇒良ければ継続」の流れをつくりやすいのも利点です。

比較・テスト発注がしやすく、失敗コストが低い

ネット仕入れでは、複数社の価格・送料・納期・レビューを一目で比較できます。
そのため、経験が浅くても相場感を掴みやすく、発注の判断ミスが少なくなります。
さらに、気になる商品を1点だけテスト発注して実際に使ってみることも可能。
「合わなければ他社に切り替える」柔軟な運用ができ、結果的に失敗コストを最小化できます。

• 価格と品質の比較が容易
• テスト発注が低コスト

一方、市場や卸売業者は、一度契約を結ぶとその業者から継続的に仕入れることが前提となります。
そのため、価格や品質に疑問があっても、簡単に他の業者に乗り換えることは難しいのが現状です。

業態別 — 仕入れの考え方と相性の良い仕入れサイト

仕入れサイトのサービスは、その得意とする商材や配送、ロットの条件がサイトごとに大きく異なります。
ここでは、代表的な5つの業態別に、仕入れのポイントと相性の良い仕入れサイトを紹介します。
自店のメニュー構成や調理体制に合わせて、どの仕入れサイトをメインで活用するかを選びましょう。

居酒屋・小料理・和食系に強い仕入れサイト

居酒屋や和食業態は、鮮魚・野菜・惣菜素材などの生鮮品の品質、回転率が命。
メニュー数が多く、1品あたりの原価管理もシビアなため、安定供給と鮮度の両立が仕入れの鍵になります。

八面六臂

首都圏を中心に、鮮魚・青果・肉・惣菜をワンストップで配送。その他、調味料や消耗品など幅広く取り扱いがある。小規模飲食店にも人気。

八面六臂

魚ポチ

魚介類専門、その他幅広い食材の取り扱いあり。高品質な鮮魚を少量でも注文可能。
水揚げ情報、価格、漁法・締め方、在庫数が一目で分かる。

魚ポチ

カフェ・ベーカリー・軽食系に強い仕入れサイト

カフェやベーカリーは、スイーツ素材・パン・ドリンク・乳製品などが中心。
「専門性の高い原材料」と「安定した消耗品」の確保が重要になります。
仕込みの手間を減らし、日持ちする商材を小ロットで安定仕入れできるサイトが理想です。

ロコパン

冷凍パン・スイーツ・ドリンク素材が充実。小規模カフェ向け。
クーポンや季節セールあり。

ロコパン

フーヅフリッジ

乳製品やデザートなど、仕込み不要の業務用食材が豊富。
UCCグループのネット通販となっており、コーヒーやカフェに関する特集記事も掲載。

フーヅフリッジ

バル・洋食・創作系に強いサイト

バルや洋食店では、ワイン・チーズ・ソース・冷凍肉など輸入食材の扱いが多く、原価率と味のバランスをどう取るかが重要になります。また、「高付加価値食材」と「多様な輸入食材」をいかに効率よく仕入れるかが要となります。

シェフ・マルシェ

洋食素材に特化した業務用サイト。ソース・デリ素材が人気。
また、会員ランク制度があり、割引や送料無料の特典が受けられる。

シェフ・マルシェ

亀屋食品

イタリア食材・ワイン・輸入食材を多く扱い、バル・洋食・創作系店舗向けに「可能な限り小ロット」で発送可能。
特に創作系・洋食店で輸入素材やワイン・チーズなど差別化したい店舗に向く。

亀屋食品

テイクアウト・弁当系に強いサイト

テイクアウトや弁当業態は、ロス・仕込み・保管の3つが勝負。
日持ちや冷凍対応を考慮しながら、回転と利益率を両立できる商材を仕入れることがポイントです。
よって「規格品の安定供給」と「資材コスト」の徹底的な管理が求められます。

タスカル

冷凍惣菜・揚げ物・お弁当素材に強い。飲食開業者の導入実績多数。
また、テイクアウトには欠かせない容器も多数の取り扱いあり。

タスカル

食彩ネット

冷凍食品・カット野菜など業務用商品が豊富。ほとんど全ての商品が『１パック』から購入できる。
介護食、パーティーメニュー、テイクアウトなど様々な幅広い特集があり、自分に合った食材が探しやすい。

食彩ネット

バー・スナック・ナイト業態に強いサイト

ナイト業態では、在庫スペースが限られ、仕込み時間も取れないのが現実。
日持ちする常温商材・乾き物・缶詰・簡易惣菜を中心に仕入れるのが基本です。

ミクリード

「小ロット・短納期・安定供給」を重視しており、ワンオペや深夜営業店舗でも扱いやすい商品構成が特徴。
飲食店事業者のみを対象としたBtoBサービスで、一般消費者は購入不可。
また、飲料・業務用デザート・業務資材なども取り扱っているため、まとめ買いでの配送・支払いの手間を一括で管理できるのもポイント。

ミクリード

開業初期に失敗しない仕入れの選び方

仕入れサイトやルートを選ぶ際は、価格や品揃えだけで判断すると失敗することも多いです。
特に開業初期は「在庫・支払い・配送・保存」のバランスをどう取るかがポイント。
ここでは、初めての店舗でも安心して取引を始められるよう、以下の6つのポイントを比較検討する必要があります。
これらの基準は、開業初期の「ロスを出さない」「資金繰りを安定させる」という課題をクリアするために重要です。

小ロット対応の有無

仕入れサイトを比較する際、まず最も重要視すべきは「最小発注単位」です。開業初期は、売上予測のブレが大きいため、少量を必要なときに仕入れられるかが、そのまま食品ロスを防ぐカギとなります。

小ロット・単品発注ができるかは最優先で確認しましょう。

少量でテスト仕入れできるサイトを選ぶことで、仕入れコストを抑えながら「売れる商品」だけを残す運営が可能になります。

支払い条件

初期費用がかかる開業時には、キャッシュフローを意識した支払い条件が重要です。

これらの条件があると、仕入れ→販売→入金の流れをスムーズにできます。
ネット仕入れの最大のメリットの一つは、「掛け払い（後払い）」が利用できるサービスが多い点です。
資金繰りが安定するだけでなく、運営中の突発的な仕入れにも柔軟に対応可能です。

配送頻度・温度帯（冷凍・冷蔵・常温）への対応

サイトの利便性は、「いつ、何を、どう届けてくれるか」にかかっています。
特に鮮魚や精肉など鮮度が命の食材を扱う場合は、配送頻度と温度管理が必須です。
また、配送日数や最短納期もサイトによって違うため、営業スタイルに合った配送条件か確認が必要です。

営業リズムに合った配送設定を選ぶことが、仕入れの安定化につながります。

保存性・仕込み負荷

開業初期は、調理スタッフが少ない、またはオーナー自身が調理を兼ねるケースが多く、「人件費」を抑えることが重要です。冷凍・常温食材をうまく活用できれば、仕込み時間の短縮やロス削減が可能です。仕入れサイトを「仕込みの代行」として活用する視点が役立ちます。また、オペレーションの安定化が期待できます。

業態との相性

カフェ・居酒屋・バーなど、業態によって求める食材や納品形態は異なります。
前章で解説した通り、各仕入れサイトには「鮮魚に強い」「資材に特化」「酒類が豊富」といった強みがあります。
メインで使う仕入れサイトは、自店のコアとなる商材をしっかり抑えていることが成功の秘訣です。

業態と仕入れサイトの「方向性」が合っているかを確認することで、安定的な仕入れ・高回転メニュー開発につながります。

信頼性（レビュー・実績）

インターネットでの取引は、実物を手にとって確認できない分、サイトや出店業者の信頼性が重要になります。
実績・利用者レビュー・取引社数が重要な判断材料となります。
特に初回取引では、「納期の正確さ」「品質トラブル時の対応」などの評判を必ず確認しましょう。

信頼性の高い仕入れサイトを選ぶことが、継続的な店舗運営の土台になります。

今日からできる！仕入れ最適化のための3つのアクション

最適な仕入れルートを確立する最も早い方法は、複数の候補を実際に比較することです。
いくら他者が「良い」と評価しても、自店で頻繁に使う商材の価格や品質が合わなければ意味がありません。
ここまで読んできた方なら、もう“どんな仕入れ方が自分に合っているか”のイメージがつかめたはずです。
あとは実際に行動に移すだけ。明日からでも始められる、3つのステップを紹介します。

候補２～３社に登録／見積

まずは、前章までの業態別ポイントやチェックリストを参考に、気になる仕入れサイトを2〜3社選び、登録・見積依頼をしてみましょう。

　　

サイトによって価格・送料・最小ロット・支払い方法などの条件が微妙に違うため、
実際に比較してみることで「うちに合う仕入れ先」が見えてきますよ！

登録や見積は無料のところがほとんどなので、悩むより動くのがポイントです。
開業前でも仮登録できる仕入れサイトも多く、準備段階から取引を進めることも可能です。

小ロットでテスト発注

仕入れサイトに掲載されている写真は魅力的でも、実際に届いた食材の鮮度や加工度、梱包状態などが期待外れだったというケースは少なくありません。

最初の仕入れは、1〜3商品を小ロットで試すところから始めましょう。
サイト上で簡単に発注できるため、冷凍スイーツやおつまみ、惣菜系などから始めるのがおすすめです。

　　

テスト発注の目的は「品質の確認」と「調理・保存・提供のしやすさ」を見ること。
思ったより量が多い／味が濃い／調理に時間がかかる——といった発見は、実際に使ってみないと分かりません！

小さく試しておくことで、ロスやコストのリスクを最小化しながら、本格オープン時の仕入れ先を見極められます。

最初は仕入れ先2社併用でリスク分散

開業初期のうちは、仕入れ先を1社に絞らずメインとサブの2社併用で進めるのがおすすめです。
これにより、一方の納期遅れ・在庫切れ・値上げなどのトラブルに備えられるうえ、商品の比較検証もしやすく、自店に最適な取引条件を探りやすくなります。

　　

冷凍食品系はA社、ドリンク系はB社といった分け方もいいかも！

このリスク分散の仕組みを作っておくことで、「急な欠品で営業できない」「天候不順で食材が入ってこない」といった事態を避けられます。
安定してきた段階で、主要な仕入れ先を1～2社に絞り込むのが理想です。

まとめ：ネット仕入れで開業初期の課題を乗り越える

本記事では、飲食店の仕入れにおける多様な選択肢の中から、特に開業初期の小規模店にとってメリットの大きい「ネット仕入れ（ECサービス）」に焦点を当てて解説しました。

最適な仕入れ先を選ぶことは、メニューの品質維持だけでなく、原価率の安定化、そして人件費の削減にもつながる「経営の最重要課題」です。従来の市場・卸だけでなく、ネット仕入れを活用することで、時間・在庫・コストの最適化が実現できます。

本日ご紹介したアクションプランを参考に、まずは2〜3社のサイトに登録し、自店のコンセプトに合った仕入れルートを確立してください。安定した仕入れ体制を築き、お客様の満足度向上と店舗の成長を目指しましょう。

仕入れは店舗経営の“血流”とも言える部分。
ぜひ今回の記事を参考に、自店に合った仕入れ体制を整えていきましょう！

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