飲食店開業までの流れを徹底解説!準備や手続き方法も詳しく紹介

「飲食店開業までの流れを知りたい」

「飲食店開業までの準備方法を知りたい」

上記のようにお考えではないでしょうか。

本記事では、飲食店の開業までの流れと準備方法について解説します。これから開業したいという方はぜひ参考にしてください。

飲食店の開業には1年間の準備が必要

「自分の飲食店を経営してみたい」という夢や希望を持っている方は多くいらっしゃるかと思いますが、現実問題として、飲食店は開業後2年以内に60%もの店舗が閉店まで追い込まれているという事実もあります。

そのような店舗はしっかりと準備をすることが無く、なんとなくの思いつきで飲食店を始めてしまったことが原因であることがとても多いです。

何年も長くにわたって経営を続けることが出来る飲食店を開店するためには、その前段階の準備にたくさん時間をかけることが必要です。

実際には、最低でも1年は準備期間として必要だと言われており、具体的な期間の詳細は以下でご紹介しております。

飲食店の開業には1年間の準備が必要

1お店のコンセプトを決める・・・開業12ヶ月前

2事業計画を立てる・・・開業11ヶ月前

3物件探しをする・・・開業8ヶ月前

4資金調達をする・・・開業5ヶ月前

5実店舗の準備をする・・・開業4ヶ月前~2ヶ月前

6各種届け出・手続きをする・・・開業1ヶ月前

7スタッフの採用・教育を行う・・・開業1ヶ月前

8宣伝活動をする・・・開業2週間前

9マニュアルを作成する・・・開業2週間前

10プレオープン・・・開業1週間前

11開業

最初はお店のコンセプトを決める

飲食店を長く経営していくにあたって、準備段階の一番最初に行う「コンセプト決め」が一番大きな影響を及ぼすと言われています。

・どんな料理・サービスを提供するのか

・ターゲットとしている客層は何なのか

・そもそも何故自分は飲食店を開業しようとしているのか

・競合となる店舗との差別化はどのようにして図るのか

等々…自分が経営することになる飲食店のコンセプトを「具体的に」考えておく必要があります。ここが具体的であれば具体的であるほど、事業計画を立てたり実際に飲食店を開業するとなった時の行動が明確なものになります。

逆にここが抽象的でふんわりとしていると、その後の行動も適当なものになってしまい、そのまま実際に経営をするとなっても失敗してしまう可能性がとても高くなってしまいます。

コンセプトを明確に決定することで初めて、自分のお店の魅力を伝えることが出来るようになるということですね。

事業計画は必ず立てる

事業計画は必ず立てるようにしましょう。

事業計画を立てることによって、自分が開業しようとしている飲食店の経営にはどれぐらいのお金が必要なのかを把握することが出来るようになります。

店舗を作る際の初期費用や、光熱費・人件費・家賃・商品の原価などの諸経費を事業計画として見えるようにしておくことで、自分が扱うこととなるお金の大きさを実感することが出来ます。

また、出費に対してどれぐらいの収入を上げなければならないのかも計算することとなるので「どのようにお店を運営してくのか」も必然的に考えるようになります。

事業計画を立てて、自分が飲食店を経営していく中でどのようにお金が流れていくのかを把握しておくことは必ず必要なプロセスです。

そもそも、資金調達のための融資を受ける際に、この事業計画をまとめた「事業計画書」が必要となるので、必ず事業計画は立てることとなるでしょう。

物件探しは慎重に行う

コンセプトに合った物件選びが重要

自分の経営する店舗となる物件探しですが、必ず最初に設定したコンセプトにマッチする物件を選びましょう。

例えば「仕事帰りにしっぽりとお酒を飲むための居酒屋」をコンセプトとしているのに原宿のど真ん中で物件を探している人がいれば「もっと他に良いところがあるんじゃない?」と思いますよね。

また、予算に収まる物件選びを行うことも重要です。

「少しくらいオーバーしても大丈夫」というような形でいい加減な物件選択をしてしまうと、金銭的な面で経営がうまくいかなくなってしまう可能性が高まります。

物件は一度選んだら簡単に変更できるものではありません。提供するメニューやその値段などは開店してからでも簡単に変更することが出来ますが、物件選びはそうはいきません。

自分の予算とこの物件を選んだ時のランニングコストをよく考えて、少しでも予算を超えそうならばその物件は諦めた方が良いでしょう。

開業資金の調達は必須

飲食店の開業は数十万円あれば始められるわけではありません。飲食店の開業にあたっては、少なくとも1000万円程度の資金の調達が必要とされています。

飲食店の開業にあたって必要な資金は以下の通りです。

・物件取得費(保証金・礼金・仲介手数料・前家賃)

・店舗投資費(内装を作るために必要なもの)

・運転資金(売上が安定するまでの店舗の運営費)

・生活費(自分や家族の生活を賄えるだけのお金)

物件取得費の中で一番金額が大きいのは家賃10ヶ月分とされている「保証金」です。礼金や仲介手数料は家賃1ヶ月分であることが殆どなので、合計すると物件取得費は家賃13ヶ月分程度と言うことが出来ます。

店舗投資費とは、最初何もない状態で借りることとなる店内の内装や外装、その他厨房設備を整えるためのお金のことを指します。店舗投資費は、平均で554万円ほど発生すると言われています。これを少しでも削減するために、近頃では廃業した飲食店の設備をそのまま次の飲食店に貸し出す「居抜き物件」を利用する人が増えています。

運転資金は、開業後から発生する費用です。お店を経営するのに必要なお金で、具体的には

・家賃

・水道光熱費

・人件費

・仕入れ原価

・広告費

です。

平均的に飲食店では、経営が軌道に乗るのに約半年かかると言われていますので、運転資金は半年分準備しておくのが望ましいでしょう。

生活費は、自分や家族がいる場合はその家族が生きていくために必要なお金です。お店の経営が軌道に乗るまでは高い収入を望むことは出来ませんので、自分達の生活が賄える程度のお金が必要になります。これも半年分用意するのが望ましいでしょう。

これらを総合すると開業にあたっての資金として1000万円ほど必要になりますが、その金額を全て調達するのはかなり難しいです。

そのため、1000万円のうち最低でも300万円〜500万円程度は自分で用意し、残りの金額は融資を受けるという手段を取ることをオススメします。もちろん、融資も言ってしまえば借金なので、自分で用意できるお金は多ければ多いほど良いです。

店舗で必ず準備するべき4つのことを解説

①メニュー開発

飲食店を開業する以上はメニュー開発はしなければなりません。

自分が提供したい料理のメニューを作成するのはもちろんのこと、競合との差別化が図れるようなメニュー開発をすることを心がけましょう。

メニューの中には

・店の看板となり、利益をどんどん出してくれるメニュー

・利益はあまりでなくても、お客さんの目を引いてくれるメニュー

のように、それぞれに役割を持たせることを意識しましょう。

②内装や外装の設計・施行

最初に決めたコンセプト通りなるようなレイアウト・内装・外装を決定し、工事を行いましょう。

もちろん、コンセプト通りに店内を作り上げるのも大切ですが、それ以外にもお客さんの居心地や店舗スタッフの動線を確保出来るような店舗作りを心がけましょう。

③厨房設備の購入

お客さんに提供する料理を作るための厨房設備を購入しましょう。

厨房設備は、上記で紹介した店舗投資費に含まれていますが、新品で全て購入するならば100万円から200万円はかかると考えておいた方が良いでしょう。中古での購入やリースをすることで安く済ませることも可能です。

ただ、中古品の場合は初期不良による修理費などで支払うお金が増えてしまったり、リースの場合は長く使うことを考えると、最終的に支払う費用がかなり高くなってしまう可能性があるというデメリットもあります。

④什器や備品の購入

厨房設備も大切ですが、調理器具や食器、椅子、テーブルなどの什器も買わなければなりません。

自分の仕事道具でもありますから、自分なりにこだわったものを購入すると良いでしょう。

少しでもコストを削減しようとして、什器の値段を少しでも安くしようとする人がいますが、あまりにも安すぎるものを使うと、それを使う自分も仕事をしていて気分が上がりませんし、お客さんも居心地が悪くなってしまうので要注意です。

飲食店の開業には手続きが必要

当然ながら、飲食店は勝手に経営者の準備が整った時に開店をして良いと言うものではありません。

飲食店を開業する前には必ず都道府県知事による許可を受ける必要があります。各店舗1人が食品衛生責任者となり、保健所に申請書類を提出します。その後に行われる施設の確認検査を経てやっと営業許可証を交付してもらうことが出来ます。

また、飲食店として建物を使う場合は使用7日前までに管轄消防署に、酒類の提供を行う場合は営業開始の8日前までに管轄警察署に申請をしなければなりません。

スタッフの募集方法は主に4つ!

①求人サイトに掲載する

タウンワーク・バイトル・マッハバイトのような求人サイトにスタッフ募集の掲載をするのが一番スタッフが集まりやすい方法です。

これを読んでいる方がかつてアルバイトをしようと思った時も、求人サイト経由で応募した方が多いのではないでしょうか。

インターネットという誰でもアクセスできる媒体であることや、24時間いつでも応募を受け付けることが出来る点が大きなメリットとしてありますが、その分どの募集方法よりも料金が高くついてしまうことがデメリットです。

②SNSで募集する

お店のSNSを開設するなどし、そこから自分でスタッフの募集を行う方法です。

Twitterで「#スタッフ募集」とタグのつけたツイートを発信する方法がもっとも一般的でしょう。

SNSを始めたばかりの頃は誰の目にもつかないことが多いため、求人サイトに比べて応募の数が少なくなってしまうのがデメリットですが、無料で行うことができるのは大きなメリットです。

③工事中の店舗に求人広告を貼る

開店前で工事中の店舗に求人広告を貼る方法は意外と効果的です。

無料で貼り付けることが出来ますし、その広告を見るのは大抵がその地域に住んでいる人たちなので「ここでバイトの募集してるのか〜ちょっと連絡してみようかな」というような感じで応募が来ることが多いです。

④知り合いに声をかける

知り合いに学生やパートを探している人がいればその人に声をかけてみるのも良いでしょう。

自分や友達の親戚に高校生や大学生がいたりする場合は、その人たちに一度声をかけてみると働いてくれることもあります。

知っている間柄なので、新しい人間関係を構築しなくても良いのは大きなメリットであると言えますね。

店舗を宣伝する方法を3つ紹介!効率的に認知させよう

①新聞の折り込みチラシ

新聞の中にチラシを入れてもらう方法は昔から使われている宣伝の方法ですよね。

「近くにこんなお店ができたのか!行ってみようかな!」と思ってもらえることも多いので効果はありますが、近頃は新聞をとっている家庭が少ないことや、インターネットでの宣伝が主流となっています。

そのため、この方法に関しては必ず実践した方が良い!というわけではありません。

②SNSで宣伝

最もスタッフ募集の時と同じように、お店のSNSを開設して宣伝を行うという方法もあります。

TwitterでもInstagramでも、ハッシュタグを上手く活用することで自分のお店を知ってもらえますが、別途料金がかかるものの、SNS上に広告を掲載するという方法もあります。

SNS上の広告では、その広告を出すユーザーの居住地や年齢を設定することができるので、効率的に宣伝活動を行うことが出来ます。

スマホユーザーの多くがSNSを利用している現代においては効果的な宣伝方法であると言えるでしょう。

③店舗の外に張り出す

スタッフ募集と同様に、開業前の店舗の外にチラシを張り出しておくことで「ここに新しいお店が出来るのか!今度行ってみようかな!」と思ってもらえます。

スタッフ募集と同様に、そのチラシをみる人はその地域で働いているか住んでいる人がほとんどなので、この方法も効果的にお店の宣伝をすることが出来ます。

マニュアルは3種類作成!それぞれを詳しく解説

スタッフの教育のためには、マニュアルは欠かせないものです。

以下に①業務マニュアル②接客マニュアル③調理マニュアルの3つをご紹介しますが、それぞれ

・店舗に置いておく共用のもの

・持ち運びが出来る個人用のもの

を、それぞれ持ち運びしやすいサイズ(大きくてもA4)で準備しておきましょう。

①業務マニュアル

こちらでは店舗全体の業務に関する内容を書いておきましょう。

書いておきたい内容としては以下の通りです。

・お店全体のルールや経営方針

・基本的な接客マナー

出勤時間やスタッフ同士の呼び方、お店で使うことになる専門用語について、飲食店未経験者の方も理解しやすいように書いておきましょう。

②接客マニュアル

店舗によっては、接客スタッフと調理スタッフを完全に分けて採用しようと考えている方もいらっしゃるかと思います。

そのような場合は接客に特化したマニュアルを作成しておきましょう。

スタッフ共通のマニュアルを作成しておくことで、接客の質を一定に保つことが出来ます。

・入店してきたお客さんを席に案内してから最後退店するまでの流れ

・お客さんに呼び出された時の対応の仕方

・敬語の使い方

・身だしなみ

以上のポイントを明確に書いておくと良いでしょう。

③調理マニュアル

お客さんに提供する料理の質を一定に保つために、調理に関するマニュアルも作成しておきましょう。

食材の管理の仕方や厨房設備の扱い方をかなり詳細に書いておきましょう。この説明を少しでも雑にしてしまうと、事故に繋がってしまう可能性もありますので、決して手を抜かず調理マニュアルは作成しましょう。

プレオープンを実施する際のポイントを解説

①プレオープンは開店前の練習

お店を開店する練習でもあるプレオープンは必ず行いましょう。

プレオープンを行わずにぶっつけ本番で開店してしまうと、思いもよらぬハプニングが起こってしまい、最悪の場合はお客さんが来なくなってしまうこともあります。

プレオープンでは、実際の開店と何ら変わりなく、お客さんを呼んで実際に料理を提供する練習を行います。

②2日に分けて行う

1日目は知り合い、2日目は店舗近隣の客など

プレオープンは知人を中心に呼ぶ1日目と近隣に住んでいるお客さんを招く2日目に分けて開催しましょう。

1日目は、緊張感のあまりない知人相手に実際の動きを確認しましょう。全てのメニューを無料で提供してみて、自分達のどんな部分に問題点があるのかをしっかりと理解しましょう。知り合いであるからこそいただける良かったところやアドバイス、ダメ出しもあると思うので、それを真摯に受け止めて2日目のプレオープンや実際の開店に活かしましょう。

2日目は近隣に住んでいるお客さんをあらかじめ招待して練習を行いましょう。開店後に使えるクーポンや提供するメニューを半額にするなどの工夫を凝らすことで、きてもらいやすくなりますよ。

1日目での反省を活かして、知らない人を相手に再度動きの確認を行いましょう。ここではレジ業務も入りますので、その点の確認も入念に行いましょう。知らない人を相手に緊張感を持ちながら練習することでより実践的な経験が出来ます。

③ダメだしをもらう

1日目・2日目のプレオープンがそれぞれ終わりましたら、来てもらったお客さんにダメ出しやアドバイスを貰いましょう。

ダメ出しはすなわち伸び代ということです。そのため、いただいたダメ出しやアドバイスは真摯に受け止めて直ちに改善できるように努めましょう。

④反省会を行う

プレオープンが終わって、ダメ出しやアドバイスをいただいたらその後にスタッフたちで反省会を開きましょう。

・接客態度(主に声や表情)は良かったか

・キッチンとホールの連携は取れていたか

・調理、盛り付け、提供はスムーズに出来たか

・レジは間違いなくスピーディに扱うことができたか

いただいたアドバイスに加えて、以上の点も中心的に反省してみましょう。

完璧に上手く行くことはまず無いですし、沢山の反省点が出てくるかと思われますので、本番の開店では少しでも同じミスをしないように徹底しましょう。

また、反省の内容によってはマニュアルを変更しないといけない部分もあるかもしれませんので、その点も確認しておきましょう。

飲食店開業の流れに沿って準備しよう!

今回は、飲食店の開業の流れを最初から開店直前までご紹介しました。

飲食店の開業はとにかく準備が大切です。どれだけ注意深く準備を進めることが出来たかどうかによって飲食店の経営が左右されると言っても過言ではありません。

「お店の経営なんて始まってからで大丈夫だ」なんてことは絶対に考えずに、この記事に書いてあることを徹底して、ぜひ納得のいくみなさんの飲食店経営を実現してくださいね。