競合店調査とは?調査する際の具体的な方法やおすすめのフレームワークを解説

競合調査と聞くとなんとなく言葉の意味は分かるが、実際はどのようなことをしているのか分からない方も多いのではないでしょうか。自店との違いやどのような戦略で経営しているのかを調査することで、店舗の改善に繋がります。

いざ競合調査をしようと思っても、ライバル店舗の良い点を取り入れたり、価格だけの調査だけだとどのような目的で何を1番に目的にして調査をしているのか分からなくなりますまた、特徴がない店舗になり他店舗との差別化ができません。

そこで、今回の記事では競合調査を行う目的や調査をする際のポイント、実際の手法について解説していきます。ぜひ最後までお読みいただき、店舗の売上アップや集客にお役立てください。

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競合調査をする目的

競合調査をする目的は、客観的に自店とライバルとなる競合店の違いを知って、自店が他店舗より優れている部分を探すことでその部分を伸ばしていくことです。一方で、競合店調査で他店舗の良い点を取り入れることは大切なことですが、良い点を取り入れるだけでは他店舗と同様なお店となってしまいます。

競合店調査をすることでどの部分を差別化して、お客様から自店がどのように認識されたいのかを構築する必要があります。

お客様は比較してお店を選んでいる

お客様は、近くにある様々な店舗の中から自分に合うお店を比較して選んでいます。お客様がお店を選ぶ基準には、品揃えや価格、接客等が挙げられますが、そこから他店舗と比較してお店を選んでいます。

そこで、競合店調査をすることでお客様から自店を選んでもらうための対策を講じることができます。

他のお店と比較することで課題が分かる

競合調査をする際には、一般的に商圏内にある競合店の状況を調査することを指します。調査をするにあたって、ただ項目を設定せずに闇雲に調査してもいい結果を得ることができません。競合調査をする際は、お店を選ぶ際のお客様の比較しているポイントを基準に項目を設定しましょう。

お客様がお店を選ぶ際は、「品揃えが豊富なお店」「安いお店」「接客が良いお店」「SNS映えができる」などといった漠然としたイメージでお店を選びます。そこから、「品ぞろえ」「価格」「接客」等といった項目に落としこんで、自店と競合店を客観的に比較できるように設定します。

それぞれの項目を調査することで、他店舗と比較して優れている部分や課題が明確になってくるでしょう。

競合調査をする際の5つのポイント

競合調査をする際に、どのようなポイントを気にする必要があるのでしょうか。気にするべきポイントを下記にまとめています。

  1. 自社の課題明確化
  2. 調査する競合店を選ぶ
  3. 調査する店舗の情報をまとめる
  4. 自社で実施したい差別化ポイントをまとめる
  5. 競合店を調査する内容

上記のポイントを抑えておくことで、ライバル店舗と明確に比較することができ、解決したい課題や今後伸ばしていきたい部分が分かります。

ポイント①:自社の課題明確化

競合調査をする際には、どのような目的で調査をするのかを明確にする必要があります。調査をする事を目的にするのではなく、どのような課題があり、そこから目的を明確にすることで、調査結果を有効的に活用できます。

また、調査する内容を絞らないで網羅的に調査してしまうと、膨大な時間やコストが掛かってしまいます。効率的に競合調査をするためにも、課題を明確化しましょう。

例として、下記のような課題があります。

  • ビジネスモデルの改善
  • 経営や人事等の体制改善
  • 流通の見直し
  • 商品やサービスの改善
  • 戦略やオペレーションの改善

ポイント②:調査する競合店を選ぶ

調査すべき課題が明確化したら、今度は調査する店舗を選定していきます。基準にするポイントで重要となってくるのが、「同じお客様を共有している」という点です。

提供している商品やサービスが同じでも、客層が異なっていると競合関係になっているとはいえません。同じ価格帯で商品を提供している同業者や、同エリア内でニーズを共有している似たようなコンセプトの店舗が、競合している店舗になります。

飲食店で例えると、A店とB店があったとします。A店は、一品が低価格でサービスを提供していて、駅前等を中心に展開して学生等をターゲットにしています。B店は、一品が高価格でサービスを提供していて、老舗デパート等を中心に展開して年齢層が高めの方をターゲットにしています。

A店とB店では、明らかに客層が異なり、同じ市場で戦っていません。なので、同じ飲食店ではあるものの競合関係とはいえないのです。そこで、A社の競合となるのが、同じ価格帯の同業者や同エリア内にあるチェーン店などが挙げられます。

このような、同じ価格帯でニーズを共有している店舗を競合調査するべき対象とすべきです。注意点として、上記の例は分かりやすく説明するために簡略化しています。なので、実際の調査では想定すべき点はさらに多岐に渡るため、対象を選定する際はプロの協力を得ることで二度手間等といった余分な作業を削減することができます。

ポイント③:調査する店舗の情報をまとめる

調査する店舗の基本的な情報をまとめる必要もあります。主な情報として、下記のポイントが挙げられます。

  • 立地(駅からのアクセス等)
  • 営業時間や定休日
  • 企業の規模
  • 客層
  • 扱っている商品
  • 集客媒体

上記のポイント以外にも、様々なポイントが挙げられます。立地は特にヒントになりやすいので、確実に抑えておきたいポイントです。

ポイント④:自社で実施したい差別化ポイントをまとめる

基本的な情報をまとめることで、競合店の弱みや強みを具体的に把握していきます。競合店には自社にない強みがある場合があるので、経営の中でヒントになるものが多くあります。

競合店の強みと弱みを把握しまとめることで、自社ではどの部分で差別化していくかを考えることができます。差別化することで他店舗とは商品やサービス等の品質に差を生じさせて、ライバル店舗よりリードする戦略です。ライバル店舗での弱みが見つかれば、その部分を自店の強みに変えて差をつけることができます。

注意点として、無駄となる部分で差別化しても効果はないので、具体的に効果があるものを選択して差別化しましょう。

ポイント⑤:競合店を調査する内容

競合調査には、大きく分けて2つの調査項目があります。立地や外からの視認性、来店のしやすさ等の店舗外の調査項目と、品ぞろえや価格、部門構成等といった店舗内の調査項目です。

店舗外の調査では、お客様がお店に来店するまでのプロセスを把握することをメインに調査します。一方で、店舗内の調査ではお客様が店舗内で感じる魅力や店舗が持つポテンシャルを把握することをメインに調査します。

競合調査のやり方|比較すべき6つの項目

ここからは、具体的な競合調査の手法について解説していきます。ここで紹介した手法を全て実施する必要はありませんが、目的に沿った手法を選択することで効果的な調査をすることができます。

また、調査する段階で可能であれば、平日と週末に分けてそれぞれのパターンを調査し、月次・季次のデータを集めるとより良いデータを収集できて分析に役立ちます。主に、下記の手法が挙げられます。

  • お店の外観調査
  • 販促品調査
  • 店舗内のレイアウト調査
  • 注力している商品調査
  • 価格調査
  • 接客調査

それでは、それぞれの手法について解説します。

方法①:お店の外観調査

外観調査では、遠い場所からでも判別できるような看板や旗があるのかを見ていきます。具体的な例として、下記のようなポイントがあります。

  1. 店舗外観の綺麗さ
  2. 駅からの立地や車でのアクセスしやすいか
  3. 看板や旗があるか
  4. 周辺の店舗や施設
  5. 地図に記載されているか

上記のポイントが、最低限抑えておきたいポイントになります。

外観調査は誰でも簡単に実施しやすいのですが、外で行う調査なので不審な行動をとってしまうと通報される可能性があることには注意が必要です。また、写真を取る際にはあらかじめお店の人に一言断ってから撮影するのが原則になります。

方法②:販促品調査

野外調査以外で経験が浅い方でも調査しやすいのが、販促品調査です。販促品とは、商品の販売を促進させたいものを指しており、チラシやビラに掲載されているものが販促品です。

スーパーなどのお店ではチラシを配っていて、チラシ内には特定の商品にクーポンを付けている場合があります。そこで、その店舗の販促したい商品とその販促方法を推測することが可能です。チラシ以外にも、街中で宣伝している場合もあるので、そこから競合店がどのようにお客様を呼び込んでいるのかを分析することができます。

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方法③:店舗内のレイアウト調査

今度は、店舗内に入り競合店のレイアウト調査を行います。店舗内の内装がどのようになっているのかを調査し、店舗のマップや陳列方法を確認していきましょう。

大手のスーパーなどではマップを配置している場合が多く、お客様が移動しやすいようになっています。陳列している商品棚もお客様が手に取りやすいよう計算されて置かれているので、どのような順番で陳列したら売り上げが上がるのかを調査しておきましょう。

方法④:注力している商品調査

どのお店でも、売れ筋や力を入れている商品があります。売り込みたい商品や主力となる商品は、売り場で多くのスペースを使っていたり、メニューとして大々的にアピールしたりしているので、その売り場での看板商品になります。そうした情報から、売り場のイメージを明確にすることができます。

また、季節によって注力している商品が変わるので、時期を考慮した上での調査が必要となってきます。

方法⑤:価格調査

自店と競合店で類似した商品を販売している場合、価格調査はとても重要となってきます。競合店が扱う同じ商品がより安い価格で販売されていると、お客様は価格以上のメリットがないと当然ながら安い店舗に傾いてしまいます。

そこで、主力商品の価格を把握することで、自店でも価格面での対策を講じることができます。合わせててクーポンやアプリといった値引きも価格調査に絡んでくるので、販促品調査と一緒に調査しましょう。

方法⑥:接客調査

最後に、競合店では接客をどのようにしているかを調査します。接客はお店のイメージに繋がりやすいので、外観や内装・レイアウトなどが良くても、接客が悪ければ売り上げは伸びていきません。逆に、多少お店からデメリットとなる部分があったとしても、お客様の対応が良いと固定客を捕まえやすくなります。

接客調査する際は、人を直接見ながら調査することになるので、あまり凝視することなくさりげなくチェックしておきましょう。

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競合店調査におすすめのフレームワーク

最後に競合店調査でおすすめのフレームワークについて解説します。下記の通りです。

  • SWOT分析
  • 3C分析
  • 4C分析

どのフレームワークも慣れれば客観的な視点で店舗を分析できます。それぞれの方法について順番に見ていきましょう。

SWOT分析

SWOT分析とは、自社・店舗と外部環境と内部環境に分けて強み・弱みを分析するフレームワークです。SWOT分析で調査結果を分析する際には、下記のポイントを一覧にしていきます。

  • 強み(Strength)
  • 弱み(Weakness)

上記のポイントから、下記のポイントをさらに付け加えます

  • 機会(Opportunity)
  • 脅威(Threat)

この4象限を「SWOT分析」といい、これらポイントからターゲットマーケットの明確化と競合店の差別化を図っていきます。

3C分析

3C分析とは、Customer、Company、Competiterの3つのCに基づいて分析する手法です。具体的には以下の通りです。

  • Customer(市場・顧客):業界の規制・トレンド、お店に足を運んでいるお客様など
  • Company(自社・内部環境):お店の売上、シェア率、技術力、仕入れ先・販路など
  • Competiter(競合):店舗近辺の競合の強み、弱みなど

3C分析では、競合店と自社を比べつつ、顧客ニーズの開拓や購買意欲の分析、市場規模などマクロ的にもミクロ的にも分析します。3C分析を活用すれば、これから展開しようとしている地域や店舗における自社の優位性を築くために有効でしょう。

4C分析

4C分析とは、Customer Value・Cost・Convenience・Communicationの4つのCからなる観点から店舗を調査する分析する手法です。具体的には下記の通りです。

  • Customer Value(顧客価値):店舗顧客が商品・サービスのどこに価値を置いているのか
  • Cost(費用):店舗顧客が商品やサービスを手に入れるまでに必要な費用はいくらなのか
  • Convenience(利便性):店舗顧客が商品やサービスを購入するまでの過程がどのくらいスムーズなのか
  • Communication(コミュニケーション):店舗と店舗顧客とのメールやSNSなどの接点はどのくらいあるのか

主に顧客からの導線から考えるマーケティグ分析となっており、顧客の購買行動を元に競合店を調査できます。

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まとめ

この記事では、競合店調査を行う目的や調査をする際のポイント、実際の調査手法について解説してきました。

どのような目的で競合調査をするのかを明確にすることで、商品やサービスの改善・競合店との差別化に繋がり、自店の売り上げを向上できます。また、調査をすることで自店の弱みを把握して、対策を講じることも可能です。

闇雲に競合調査をする必要はありませんが、定期的な調査をして競合との差別化を図りましょう。