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アルバイトやパートの雇用は業務の効率化を図るために必要なことです。
アルバイトやパートの雇用を検討している企業は、社会保険や税金控除についても理解を深めておく必要があります。
この記事では、アルバイトとパートの違いを法律を踏まえてまとめました。また、社会保険や有休制度、収入に対する税金控除のルールも紹介します。
雇用する際の手続きや抑えておくポイントも解説しているため、参考にしてください。
アルバイトとパートの違いは特になし
基本的に、アルバイトとパートに違いはありません。
2つの呼び方がある理由は、会社側がアルバイトとパートを働き方として区別しているからです。
以下からは、法律上の違いや一般的な使い分けを解説します。
法律上の違い
アルバイトとパートの両方とも「パートタイム労働法」に分類され、法律上の違いは特にありません。
法律上の考え方では、アルバイトではなく「パートタイマー」が本来の名称であり、定義としては「1週間の労働時間が通常の雇用者と比較して短い労働者」のことを指します。
厚生労働省発行のパートタイム労働法にもアルバイトとして記載されることはないため、法律上では両者の違いはないと覚えておきましょう。
一般的なイメージの違い
アルバイトとパートで使い分けられるのは一般的なイメージの違いからと言われています。
以下で世間が持つイメージを比較しました。
- 10~20代の高校生や大学生、またはフリーターの働き方
- 30代以上でも男性であればアルバイトと呼ばれることが多い
- 会社における責任が低く、短期間で働く人のイメージが強い
- 30代以上の女性、または主婦層が働く場合
- 育児休暇や産休などアルバイトよりも労働環境が完備されている
- 長期間で働く女性で、会社との雇用関係が強いイメージがある
上記のように世間でのイメージで区別されているため、会社側が求人を出す場合には使い分けていることが多いです。また、会社の中でも上記のイメージで分類していることがあります。
事実、男性の大学生をパートと呼ぶことは少なく、逆に主婦の女性をアルバイトに括ってしまうと「下に見られた」というイメージを持たれることも少なくありません。
法律上の考え方では同等ですが、アルバイトとパートを同じように扱うことで不快に感じたり困惑するケースがあることから使い分けていると考えられます。
契約社員との違い
契約社員は、会社との雇用契約を交わして決められた期間で働く有期契約社員のことです。
通常の労働者と同じようにフルタイムで働き、最長である3年以下の契約期間が満了すると終了となります。満了後にも再契約を結ぶことができ、5年を超えると無期雇用契約として働くことが可能です。
パートとの主な違いは、雇用期間が定められているかと給料形態が異なる点です。契約社員は月給制となりますが、パートは時給制で給料を支払います。
契約社員を雇用する場合の注意点は以下の通りです。
- 契約期間内は解雇ができない
- 所定労働時間が原則1日8時間以内、週40時間以内と定められている
- 社員との賃金の格差があってはならない
- 5年の契約を超える場合に無期雇用の申し出があれば断れない
基本的には、通常雇用の社員と同等の扱いです。就業規則の有無によっても考え方が異なりますが、社員との待遇に格差があるのは禁止されています。
また、3年から契約延長をして5年が経過してしまい、契約社員から無期雇用契約を結びたいと申し出があれば必ず受理しなくてはなりません。基本は就業時の契約書を遵守する必要があるため、契約社員を雇用する場合は事前に労働基準法を一覧しておきましょう。
アルバイトとパートの税金控除について
アルバイトとパートは、103万円の収入を超えると所得税を納める必要が出てきます。もし雇用する場合には、なるべくこの金額を超えないよう工夫してあげなくてはなりません。
ただし、税金控除の仕組みを利用することで103万円を超える収入でも税金がかからないケースがあります。
アルバイトとパートの概念は同じであると踏まえた上で、税金控除の仕組みを理解しておきましょう。
学生の税金控除
アルバイトで学生を雇用した場合には「勤労学生控除」という制度が当てはまります。
基礎控除48万円と給与所得控除55万円にプラスされて勤労学生控除27万円があるため、収入が130万円までなら所得税を納める必要がありません。
ただ注意点としてあるのが、勤労学生控除を利用してしまうと親の扶養控除は適用外です。もし家族で同居している場合は、事前に確かめておかないとトラブルに発展する可能性があります。
学生のアルバイトから130万円ぎりぎりまで働きたいとの相談を受けた際は、扶養控除から外れる旨を伝えた上で親御さんと話し合って決めてもらいましょう。
主婦に対する配偶者控除
主婦で働くパートには「配偶者控除」が当てはまります。ただ勘違いしてはいけないのは、パート主婦の給与が控除されるわけではありません。
パート主婦は「控除対象配偶者」となり、実際に控除を受けられるのは納税者である夫の方です。条件として、配偶者の年間所得が48万円以下となっており、給与収入のみであれば103万円が適用されます。
もしパート主婦の給与が103万円以内だった場合、配偶者自身は所得税を納める必要がなく納税者は控除を受けられることになるため、必然的に節税へとつながるというわけです。
配偶者の対象となっている主婦のほとんどが103万円を超えない収入を希望していることを踏まえておきましょう。
所得税や住民税控除
所得税はアルバイトでは収入103万円以内であれば控除対象となり、住民税は100万円までが非課税の対象となります。
よって、収入が101万円の場合は所得税は払わなくていいものの、住民税は納税義務が発生することを理解しておかなくてはなりません。
住民税控除は43万円と定められており、給与所得控除が55万円です。合計で98万円までは住民税に対して控除できますが、課税対象は100万円以上となっています。
どういうことかというと、もし収入が99万円であれば住民税を納める必要がないですが、101万円であれば控除額98万円を差し引いた3万円が課税対象となるわけです。
所得税は103万円以上、住民税は100万円から課税対象になると覚えておきましょう。
アルバイトとパートの社会保険・有給について
アルバイトとパートは一定の条件を超えると社会保険の加入義務が発生し、有給休暇も同様に取得させることが義務付けられています。
働き方に関わる重要な項目でもあるため、理解を深めておかないと後にトラブルへと発生しかねません。以下で加入条件と取得条件を解説します。
社会保険の加入条件
社会保険の加入条件は、大きく分けて2つあります。
- 勤務時間が及び日数が正社員の4分の3を超える場合
- 年収106万円以上で勤務先と労働における条件が当てはまる場合
1日あたりの勤務時間と月の労働日数が正社員の4分の3を超えると必然的に加入義務が発生します。もしアルバイトから「加入したくない」と提案されたとしても断ることはできません。
また、年収106万円以上で以下の条件に当てはまると加入する必要があります。
- 週の20時間以上の労働
- 給料が月8.8万円以上または年収106万円以上
- 1年以上の雇用(令和4年10月より2カ月に改訂)
- 従業員501名以上(令和4年10月より101名に改訂)
- 学生ではない
年収106万円を超えて上記の条件のいずれかに当てはまると社会保険に加入してもらわないといけません。
アルバイトのなかには社会保険に加入して手取りを減らしたくないという人もいるため、事前に加入義務は伝えておきましょう。
有給の取得条件
アルバイトやパートで有給を取得するには2つの条件を満たしておく必要があります。
- 所定労働日数の8割を超えた場合
- 入社から継続して6カ月以上勤務
上記を満たすことで、アルバイトやパートでも有給が発生します。付与する日数は10日と定められており、以降は年5日ずつ付与していかなくてはなりません。
ただし、アルバイトの場合は勤務日数が限定されるため、主に以下の条件で付与させることがほとんどです。
- 週の所定労働日数4日以下かつ所定労働時間30時間未満
- 年の所定労働日数216日以下かつ週の所定労働時間30時間未満
上記の2つに当てはまる場合の付与日数は労働の日数と時間で異なります。雇用時に交わした契約書における所定労働日数から計算する必要があるため、雇用前には確認しておきましょう。
アルバイトとパートを雇用する際の3つのポイント
アルバイトとパートを雇用する際には、労働基準法に基づいて進めていかなくてはなりません。何も調べないままに雇用してしまうと、最悪のケースではトラブルへと発展する可能性もあるでしょう。
採用前に行うべきことは最低賃金を確認しておくことです。さらに、採用後には雇用契約を結ぶための手続きをし、必要となる書類を求職者に提出してもらう必要があります。
以下で注意点を踏まえた雇用する際の3つのポイントをまとめたので、参考にしてください。
①地域別の最低賃金を確認しておく
まずは、地域別の最低賃金を確認しておきましょう。
各都道府県で最低賃金は異なるため、確認しておきましょう。基本は時給で定められており、その金額を超えておけば問題ありません。
ただし、特例最低賃金と呼ばれる国が定めた特定の産業での雇用になると別で最低賃金が決められています。もし当てはまる場合であれば、直接厚生労働省に問い合わせてみましょう。
最低賃金の価格は毎年10月に更新されるため、忘れずにチェックしておいてください。
②雇用通知書・保険の手続き・就業規則作成を進める
アルバイトを採用した後には、必要となる手続きを進めていきましょう。
必要となる書類と手続きは以下の通りです。
- 雇用通知書
- 保険の手続き
- 就業規則作成
雇用通知書とは、労働条件となる項目をアルバイトへと通知する書類です。勤務時間や賃金、または待遇などを記載してくとよいでしょう。
就業後には雇用通知書に基づいて仕事をしてもらうことになるため、採用するアルバイトには内容のチェックと捺印が必要です。
保険の手続きは、社会保険や労働保険など雇用する上で必要です。労災保険の加入は義務付けられており、その他の雇用保険や社会保険については加入条件があります。
就業規則は、初めてアルバイトを雇用する際には作成しておかなくてはなりません。パートタイム労働法で定められている基準を満たし、正社員とアルバイトの働き方を区別するために必要とされています。
ただし、働き方が違っても待遇による格差が生じるのは禁止されているため、注意しておきましょう。
③求職者に書類を準備してもらう
採用後の手続きが完了したら、求職者に必要となる書類を準備してもらいましょう。
ここで重要となるのがマイナンバーカードです。会社が確定申告や年末調整、またはアルバイトが労災保険へ加入する際に必要となります。
もしマイナンバーカードを提出してもらえない場合は法律で義務付けられていることを伝え、アルバイトに理解を深めてもらいましょう。
その他には社会保険に加入であれば、国民年金手帳や被保険者証などが必要となります。事前の手続きで提出してもらう書類を共有しておくと、求職者も困惑することなくスムーズに準備できるでしょう。
アルバイトとパートの違いに関するよくあるQ&A
アルバイトとパートの違いに関するよくある質問に答えていきます。
アルバイトとパートの時給が違うのはなぜ?
アルバイトとパートの時給が違うといったことはありません。
理由としては、アルバイトとパートは法律上では違いはなく、給与形態においても格差がないようにとパートタイム労働法で定められているからです。
もし時給が違うとすれば、会社の規定でどちらかの給料が上がっていることが考えられます。アルバイトやパートにも昇給制度があるため、会社規定で高くなっているのかもしれません。
また、同じ時期に就業しても実務経験がある人は初回の研修期間が免除されることがあります。どのケースも就業規則として定められていれば違反ではありません。
ただし、会社規定で決められておらず格差を付けている場合は違法行為です。同一賃金同一労働という法律で定められているため、もし就業規則に記載がない場合は労働基準監督署に相談してみましょう。
アルバイトとパートの履歴書の違いは?
アルバイトとパートの履歴書に違いはありません。
繰り返し説明していますが、アルバイトとパートには明確な違いはないため、特に気にする必要はないでしょう。
補足として、アルバイトの履歴書の記載事項を以下にまとめました。
- 学歴
- アルバイト・正社員を区別しての経歴と年数
- 実務経験が求められる職場ではより詳しく記載
- 保有している資格
- 備考欄にはアピールポイントを記載
会社は法人であれば株式会社・有限会社まで記載すると、実務経験があることで研修期間が免除されるケースがあるため、保有している資格も書いておくとよいです。
備考欄では今後働く上での要望を伝え、自分のアピールポイントも分かりやすいよう記載しておきましょう。
まとめ
今回は、アルバイトとパートの違いについて解説しました。
法律上ではどちらもパートタイム労働法で定められており、異なる点は世間におけるイメージのみで他の違いはありません。
アルバイトの雇用を考えている企業は、所得税控除の103万円と住民税控除の100万円、社会保険が対象となる106万円の違いはしっかりと踏まえておきましょう。
労働基準法を遵守するためには、各都道府県で定められた最低労働賃金を確認し、雇用通知書や就業規則の作成も必要になってきます。
正社員とパートの待遇に格差が出ないよう同一賃金同一労働のルールに注意して、アルバイトやパートの雇用を進めていきましょう。
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