【アパレル】店舗運営の課題と解決法を徹底解説

アパレル店舗の運営にかかわっている人の中には、店舗運営をより効率的にして売上拡大を目指したい人もいるでしょう。

課題の洗い出しと解決法は、店舗運営の円滑化のために重要です。アパレル店舗にどんな課題や解決法があるのか、事前に把握しておけば対処が容易です。

本記事では、アパレルの店舗運営に悩みや疑問を抱える人へ、仕事内容や課題別の解決法を徹底解説します。

本記事を読めば、アパレルの店舗がどう運営されているのか具体的に把握でき、様々な課題を解決できるでしょう。日ごろ何気なくしていた業務などをしっかり把握し、課題解決につなげられます。

アパレル店舗運営の7つの仕事内容

アパレル店舗の仕事は主に以下の7つです。

  1. 売上管理
  2. 商品管理
  3. 仕入れ
  4. ディスプレイの構築
  5. ショップスタッフの教育・育成
  6. ショップの雰囲気作り
  7. 本社との連携業務

上記の業務を日々行い、効率化するのが店舗運営において重要です。効率化を実現するには、仕事内容を詳しく知らなければなりません。以下で解説するので、しっかり把握しましょう。

①売上管理

売上管理は閉店間際など、1日の終わりに行います。

単に数字を合わせるだけでなく、客単価や売れた商品の種類や数を記録しておきましょう。日々、売上にかかわる情報を整理しておくことで分析しやすくなり、店舗の成長につながります。

ルーティンワークとしてやり方を共有し、誰がやっても同じく見やすい帳簿を作るなど、効率的に売上管理しましょう。

②商品管理

商品管理は、在庫がどれくらい残っているかを把握し、新品の状態で保管する業務です。在庫の数だけでなく、商品が新品の状態で長く保管されるようにしましょう。

アパレルの店舗では、食品など生ものを扱わないので商品の保管はそれほど難しくありません。服にしわができたり、破れたりしないように安全な環境で保管すれば大丈夫でしょう。

在庫管理では、どこにどの商品があるか把握できるように整理整頓の習慣をつけます。在庫から必要に応じて、すぐ商品を取り出せるレイアウトを構築するのも重要です。

③仕入れ

仕入れは発注と検品が主な業務です。仕入れた商品は発注データとずれがないか毎回チェックします。数だけでなく、商品の状態をチェックし、販売しても問題ないかの検品も同時に行いましょう。

仕入れはルーティンワークとなりがちですが、安い仕入れ先を探すなど、改善できる点を意識しながら行うと店舗運営の良い影響があります。

アパレルショップアパレルの開業ガイド|仕入れ先の見つけ方や必要な資格を解説

④ディスプレイの構築

ディスプレイは商品PRに使われる什器などを指します。アパレルショップでは、新発売のアイテムをマネキンに着せてPRするケースが多いです。

ディスプレイでは特に訴求したい商品をPRします。見た目が重視されるアパレルショップでは、ディスプレイの構築は重要な業務です。客の視線を集め、興味を持たれるディスプレイを構築しましょう。

⑤ショップスタッフの教育・育成

ショップスタッフの教育・育成もショップ内で行われる業務です。現場で実際に接客などを行いながら、OJT形式で必要な知識やスキルを身に着けてもらいます。

どういった教育方針をとるかや、優先順位をつけて何を教えるかも考えましょう。経験の浅いスタッフは不安を覚えることも多いので、仕事を教えながら心理的なケアを行う場合もあります。

⑥ショップの雰囲気作り

ショップの雰囲気をよくすることは、客が商品を購入しやすくするために重要です。雰囲気作りをするには店の色調を明るくしたり、店員が明るく接客を行ったりすると効果があります。

ショップの雰囲気作りをよくするために、全スタッフに意識を共有してもらいましょう。

⑦本社との連携業務

アパレルの店舗運営では本社と連携を取ることもあります。系列のアパレルショップ全体で行うキャンペーンや販売促進の活動は本社マターです。

店舗運営ではキャンペーンや販売促進活動をサポートするために、商品を購入した人への周知を行います。売上拡大は、本社と店舗が連携してシナジーを生むことも重要です。

アパレル店舗を運営する際の5つの課題

アパレルの店舗運営をするなかで、発生しがちな課題は以下の通りです。

  1. 売上の伸び悩み
  2. 事務作業が煩雑
  3. 人材不足
  4. 仕事量が多い
  5. コロナ禍による来店客数の低下

店舗運営では、どんな課題が発生しやすいのか事前に把握しておきましょう。仮に今は課題となっていないものでも、将来的に発生することもあります。どんな問題が起きるか想定し、すぐに対処できる状態にしておきましょう。

①売上の伸び悩み

店舗運営で売上の伸び悩みはアパレル以外の店舗でも起きる問題です。店舗は客を取り込める範囲である商圏が存在します。店舗として成熟してくると、商圏内の客をほぼ取り込んでしまって、売上を伸ばすのが難しくなるのです。

流行の移り変わりとともに店舗に陳列する商品を変えるなど、売上拡大に向けた工夫をしないと伸び悩みどころか、減少にもつながるでしょう。商圏内の客を取り込み、リピーターとしながら単価を上げる努力が必要です。

②事務作業が煩雑

店舗運営では、在庫の管理や帳簿の記入など販売以外の事務作業も行います。メインの業務ではありませんが、事務作業をしっかりと行うと、情報整理できて売上拡大をサポート可能です。

しかし、店舗の規模や人員によっては煩雑な事務作業に手が回らず、接客などにも影響を与える可能性があります。店舗運営にかかわる立場として、事務作業がどれくらい時間のかかるものなのか把握しておきましょう。

また、煩雑な事務作業は、よりわかりやすい方法に改善できないか検討することも求められます。

③人材不足

店舗運営をするうえで人はもっとも重要です。スタッフを採用するうえで質も重要ですが、数を確保することも重要です。

人材不足は採用活動を積極的に行っても、すぐに改善できない可能性があります。人材不足に陥ると、新しいスタッフを雇っても教育・育成をする余裕もなくなる悪循環に陥るのです。

人材不足は問題となってから対応しても間に合いません。計画的にスタッフを雇うようにして、業務を把握して余裕のある数を確保しましょう。

④仕事量が多い

仕事量は店舗の規模に比例します。売上拡大できなかった課題を克服し成長できたとしても、仕事量の増加に対処しなければなりません。

仕事量が多くなるとスタッフの負担が増えてしまい、ミスや客からのクレームにつながります。店舗運営する側から見ても、仕事に割くリソースがない状況は避けたいです。仕事量に対する適切な人員配置は、店舗運営の大きな課題の1つと言えます。

⑤コロナ禍による来店客数の低下

アパレルショップは対面で営業します。2020年以来のコロナ禍によって、人と人が間近で接することが避けられる状況はマイナス要因です。

コロナ禍でも客を確保するには衛生面をより重視し、客が安心して買い物を楽しめる空間をつくる必要があります。小まめな消毒や清掃が必要となり、業務として加わります。いつ清掃や消毒を行うか、時間や担当を決めるなどの対策で克服を目指しましょう。

アパレル店舗運営で課題解決に向けて取り組みたい7つのこと

アパレルの店舗運営で発生した課題を解決するには、以下を実行すると効果的です。

  1. 分析能力を鍛える
  2. マニュアル化する
  3. データを統一する
  4. 無駄な作業を排除する
  5. 情報の共有をする
  6. デジタル化する
  7. SNSでコーディネートを発信し、目的買いを増やす

店舗運営をするには様々な能力が求められます。上記を実行し、必要な能力を身につけましょう。

①分析能力を鍛える

店舗運営の課題解決には、原因を把握しなければなりません。課題が何を原因としているのか把握していないと、対症療法的な解決法しか提示できず、根本的な解決につながらないです。

分析能力は日々の業務見直しなどで鍛えられます。日ごろから仕事に関心を持ち、なぜその業務を行うのか理解しておきましょう。あらかじめ仕事を深く理解していると、課題発見しやすくなり解決法も提示できます。

②マニュアル化する

仕事でルーティンワークに類する部分は、マニュアル化しておくと全体の業務効率をあげられます。新しいスタッフも仕事を覚えやすくなるのもメリットです。

店舗運営ではスタッフごとに自分のやり方で進めている仕事もあるかと思います。個々人が自分にやりやすい進め方を確立するのも、業務効率アップには重要です。

しかし、バラバラのやり方では微妙な違いが生まれてしまったり、事務作業でできた帳簿などが他の人に見にくくなったりします。新しく店舗に来たスタッフからしても、やり方が人によって違うのは仕事を覚えにくくする原因です。

できるだけ仕事はマニュアル化し、覚えやすくてミスの少ない状況をつくりましょう。課題解決も重要ですが、マニュアル化などの課題を発生させない対策も重要です。

③データを統一する

売上管理など、データに関する業務は誰が行っても同じ結果にならなければなりません。長期的な売上の推移や前年との比較など、統一されていなければ見返す意味がないデータも多いです。

データを統一すれば、店舗の状況を客観的に把握できて業務効率もアップします。課題の原因も理解でき、解決法を打ち出しやすくなるので、データは統一した様式にしておきましょう。

④無駄な作業を排除する

業務の中で行う個別の作業に無駄がないか調べましょう。今まで習慣でやっていたことが、店舗運営の状況変化によって必要なくなるケースがあります。惰性で同じ作業を続けるのではなく、改善できるところがないか常に確認しましょう。

店舗運営ではスタッフからの意見も重要です。スタッフが自分の考えを発信しやすい環境や、雰囲気づくりを心掛けてください。

⑤情報の共有をする

スタッフ同士で密に報連相を行える職場はミスが発生しにくく、課題解決も早いです。情報の共有は口頭で行ってもよいですが、バックヤードの掲示板やグループチャットなどを活用すると効果的に行えます。

業務の中でミスや問題が発生した場合、それを伝えやすい雰囲気づくりも重要です。スタッフの性格によっては自分で抱え込んでしまったり、必要以上に自分を責めてしまう人もいます。スタッフの性格を見極めたうえで、適切な解決法を提示しましょう。

⑥デジタル化する

在庫管理票や帳簿など、データをデジタル化すると管理や業務を効率化できます。在庫管理や売上など帳簿の記録を紙媒体で行っている店舗も多いでしょう。しかし、紙は量が増えてくるとどこに見たいデータがあるのかわかりにくかったり、保管スペースを圧迫したりします。

デジタル化すると、探したいデータを端末からすぐに調べられますし紛失の心配もほとんどありません。管理もPC1台でできるため、バックヤードや事務所のスペースを有効活用できます。

⑦SNSでコーディネートを発信し、目的買いを増やす

アパレルショップは、お洒落への関心が強い人を多く客として取り込む必要があります。店舗にあるアイテムでコーディネートを作り、SNSで発信すれば、目玉商品をわかりやすくアピール可能です。

アパレルショップの客には、何を買うか決めてから店舗を訪れたい目的買いの人もいます。SNSで発信したコーディネートを店内のディスプレイで展示しておけば、目的買いの人をスムーズに購買へ誘導可能です。

昨今ではビジネスの世界でSNSの存在感は増しています。オンライン上での宣伝はネットビジネスだけだと思われがちですが、アパレルショップの客を増やすためにSNSでの存在感は重要です。発信を小まめに行って、フォロワーを獲得しましょう。

アパレル店舗の運営課題を解決した3つの事例

ここからはアパレル店舗運営で業務を効率化した事例を3つ紹介します。

  1. ユニクロ
  2. ユナイテッドアローズ
  3. オンライン展示会

アパレル店舗運営での効率化は、新規のツールや知見を取り入れて効率化する方法があります。

順番に見ていきましょう。

株式会社ファーストリテイリング|セルフレジ

株式会社ファーストリテイリングのアパレル小売店のユニクロでは、買い物にきた消費者がセルフで会計ができるセルフレジを導入しました。商品を入れた買い物カゴを専用の棚に置くだけで、点数と必要な金額が算出され、支払いを済ませられます。

さらに、顧客に対応する人件費を削減し、会計業務の効率化も測れるため、1店舗に対する生産性の向上に繋がるでしょう。

また、会計時のヒューマンエラーの削減やレジの混雑を減らすことにも繋がるため、顧客の不満の改善にも貢献しています。

株式会社ユナイテッドアローズ|オンラインコマース

株式会社ユナイテッドアローズは、自社オンラインストア「ユナイテッドアローズ オンラインストア」で買い物をしている消費者へ向けて、オンラインコマースを行いました。

ライブコマースとは、ネットを通じた動画配信で商品を説明・紹介し、ECサイトへ誘導する販売手法で、画像やテキストでは伝わりづらい服のサイズ感や着こなしイメージを与える効果があります。店舗での接客をオンラインで多くの人に伝えられるため、効率的な接客が可能です。

新型コロナウイルス感染拡大を背景として、導入され、ライブ配信で紹介した商品の売上は、ライブ配信前の一週間と比較すると、平均約40%以上の向上に繋がりました。

ユナイテッドアローズに限らず、今後のライブコマースは主流となってくるでしょう。

株式会社ゲストリスト|オンライン展示会

バイオーダー制で世界的に旬のブランドの製造・インポート卸・販売を提供する株式会社ゲストリストでは、新型コロナウイルスでオフラインでの展示会ができないことを背景にオンライン展示会を実施しました。

オンライン展示会とは、バーチャル展示会やWeb展示会とも呼ばれ、会場をレンタルせずにインターネットを通じて展示会を行うことです。アパレルだけでなく、不動産や製造業でも活用されています。

当社では、店舗管理POSシステムや工場・倉庫・店舗にRFIDを導入していましたが、システムの性質上受注業務が手作業になり営業に集中して取り組めない現状がありました。

そこで、ECサイトを導入し、展示会受注を全てデジタル化にしました。展示会後には1週間かけていた受注集計・入力作業が0になりました。業務の効率化につながった事例です。

アパレル店舗運営を効率化できる3つのツール

ここからはアパレル店舗の運営を効率化できる3つのツールを紹介します。

  1. APPAREL CLOUD
  2. アシスト店長
  3. ネクストエンジン

順番に見ていきましょう。

APPAREL CLOUD

引用:APPAREL CLOUD
サービス名APPAREL CLOUD
提供会社株式会社アパレルウェブ
価格問い合わせ
特徴データ一元化/CRM実現/外部ツール連携など

株式会社アパレルウェブが提供するApparel Cloudは、ファッション・アパレル企業が管理している商品・店舗・会員・在庫などのデータをクラウド上で一元管理できる効率化ツールです。

Webを活用した売上アップやサイトの運営・管理・更新などWebに関する業務も解決できます。顧客の属性、趣味、嗜好などのデータから、最適な情報の発信も可能です。

アシスト店長(株式会社ネットショップ支援室)

引用:アシスト店長
サービス名アシスト店長
提供会社株式会社ネットショップ支援室
価格初期費用:50,000円~
月額費用:25,000円~
(受注件数1,000件まで)
特徴在庫管理、顧客管理業務、発送業務/CRM/外部ツール連携など

株式会社ネットショップ支援室が提供するアシスト店長は、ECサービスに特化した効率化ツールです。複数モールでの受注や在庫管理、顧客管理業務、発送業務など商品を受けてから届けるまでを一元管理できます。

受注管理にかかる手間やコストを削減し、手動に頼らない在庫管理が可能です。オプションを追加すると、顧客応対管理機能やステップメール、DM機能などの顧客の満足度を上げる機能を追加できます。

ネクストエンジン

引用:ネクストエンジン
サービス名ネクストエンジン
提供会社Hamee株式会社
価格月額10,000円(受注件数400件まで)
+従量課金区分(受注1件当たり)
401件~:25円
1,001件~:20円
3,001件~:15円
5,001件~:10円
7,001件~:5円
特徴カート標準連携/在庫管理、顧客管理業務/店舗ごとの分析など

ネクストエンジンは、ECサイト効率化に適したツールです。Hamee株式会社は、複数のネットショップを運営しており、実際にネットショップを運営する側の視点からシステムを開発しました。

楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピングやMake Shop、カラーミーショップなど幅広いカートにも対応しています。

また、発注自動計算、発注書作成、発注残数の確

認、受注管理、在庫管理・商品管理・発送管理など複数の管理業務も可能です。物流業務をスマホで操作できるので、空いた時間にサクサクとタスクをこなせます。

アパレルショップの店舗運営は効率化が課題解決のカギ

アパレルショップで店舗運営をすると、様々な課題を発見できます。スタッフから店長に昇格すると、立場の違いから同じ業務でも見え方が変わるでしょう。店舗運営は課題に場当たり的な対処をするだけでは不十分です。課題の原因を把握し、根本的な解決法を見つけてください。

解決法を提示するには、店舗運営でどんな課題があるか事前に把握しておきましょう。予測しておけば課題へ対策を立てやすく、未然に防げます。

課題を発見するには、環境を整えましょう。帳簿や在庫管理をデジタル化し、業務のマニュアル化を進めれば、業務効率化と課題発見を両立できます。

アパレルショップの店舗運営にかかわる人は、ぜひ本記事の課題や解決法を参考にしてみてください。効果的な対策を立てられます。

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