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「会社員をしながら副業をしていて個人事業主として独立を考えている」
「独立の方法や個人事業主のメリットやデメリットについて知りたい」
2018年に働き方改革の一環として政府が副業の解禁を推奨し始めてから、多くの方が副業に興味を持つようになりました。
中には、副業が軌道に乗りつつあり、会社員を辞めて個人事業主として独立を考えている方もいるのではないでしょうか?
本記事では、現在副業を行っている会社員が個人事業主として独立する方法から、個人事業主になるメリット・デメリットを紹介します。
この記事を読めば、個人事業主として独立するための、今後の計画が立てやすくなるでしょう。
副業をしている会社員(サラリーマン)は個人事業主になる?
副業をしている会社員の多くは、個人事業主に該当します。
確定申告を青色でしているか白色でしているかなどは関係ありません。
ただし、副業の内容により該当しないケースもあるため、個人事業主に該当するケースと該当しないケース、それぞれを見ていきましょう。
副業をしている会社員で個人事業主に該当するケース
会社員をしながら副業をしている人で、個人事業主に該当する仕事は以下の通りです。
- WEBライター
- イラストレーター
- アフィリエイター
- コンサルタント
- etc…
個人事業主に該当するケースの目安としては、「継続的に」「安定した収入」を「営利目的」として得ている場合です。
行っている副業が事業になるかどうかは、1年以上で継続な収入とみなす、などの具体的要件はなく、上記の条件に当てはまるかを総合的に見て判断されます。
副業をしている会社員で個人事業主に該当しないケース
会社員をしながら副業をしている人で、個人事業主に該当しないケースは以下の通りです。
- メルカリやヤフオクなどで不用品を販売した
- 趣味でブログをしており広告収入を得ている
- ハンドメイド作品を年に数回フリマで販売している
- etc…
上記のような副業をしている場合は、一時的な雑所得とみなされるため、個人事業とはなりません。
雑所得の収入が年間で20万円を超えていても、事業所得では無いため、開業届を税務署に出して個人事業主になる必要はないのです。
ただし、1年間の売上から経費を差し引いて残った金額が20万円を超えた場合、確定申告が必要です。
これは本業以外でアルバイトやパートを行い、20万円超えた場合も同様。
雑所得と同じく給与所得は事業所得ではないため、個人事業主になる必要はありませんが、確定申告は必須となります。
副業をしている会社員(サラリーマン)が個人事業主になる方法と準備
事業として副業をしている会社員(サラリーマン)であれば、将来的に独立を視野に入れている人も多いのではないでしょうか。
一口に個人事業主と言っても、事業主の規模は4つに分かれます。
- 事業をしていない状態
- 20万円以下の収入を得ている状態
- 20万円以上の収入を得ている状態
- 法人化している状態
ここからは、主に上記の3.「20万円以上の収入を得ている状態」の会社員が、会社を独立して個人事業主になる方法と準備について詳しく解説します。
- 銀行口座・クレジットカード作成
- 開業届を提出する
- 青色申告承認申請書を提出する
- 保険を切り替える
今までの収支のバランスにもよりますが、会社員から個人事業主として独立するには、副業での収入が年間数100万円ほどになった頃を目安として考えると良いでしょう。
銀行口座開設・クレジットカード作成
まずは、個人用と事業用の銀行口座とクレジットカードを新しく作成しましょう。
ある程度の安定した収入があると認められれば、個人事業主でも法人用のクレジットカードを作成可能です。
- お金の管理がしやすい
- 確定申告に備えられる
- クレジットカードの年会費の形状が楽
個人用と事業用の銀行口座とクレジットカードを分けると、お金の管理がしやすく、確定申告に備えられるメリットがあります。
また、事業用で作成したクレジットカードに年会費がかかる場合、経費としてそのまま計上できるため、確定申告の際に年会費を案分して事業用の分だけ経費計上するなどの手間がかかりません。
開業届を提出する
開業届は正式名称を「個人事業の開業・廃業等届書」と言い、個人事業を開業したことを申告するための用紙です。
- 対象:事業所得や、不動産所得・山林所得を生ずべき事業の開始などをした方
- 提出時期:原則として開業から1ヶ月以内
- 提出場所:税務署
- 必要費用:無し
(参照:国税庁「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」)
基本的には開業から1ヶ月以内に税務署に提出する開業届ですが、実は提出しなくても罰則等はありません。
しかし、次に説明する青色申告承認申請書を提出する場合、開業日を記載する箇所があるため、青色申告をする場合に開業届は必須となっています。
青色申告承認申請書を提出する
毎年の確定申告で青色申告をしたい人は、青色申告承認申請書の提出が必要です。
白色申告では基本的に税制上の優遇措置はありませんが、青色申告を行うと、最大で65万円の控除を受けられます。
- 対象:青色申告の承認を受けようとする方
- 提出時期:青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで
- 提出場所:税務署
- 必要費用:無し
(参照:国税庁「所得税の青色申告承認申請手続」)
青色申告承認申請書を提出しなければ自動的に白色申告となるため、控除を受けたい方は忘れずに提出するようにしましょう。
保険を切り替える
個人事業主は第一号被保険者となるため、今まで会社で掛けていた健康保険と厚生年金を、国民健康保険と国民年金に切り替える必要があります。
働き方 | 支払うべき保険 |
---|---|
会社員 | 厚生年金 健康保険 介護保険 労災保険 雇用保険 |
個人事業主 | 国民年金 国民健康保険 介護保険 |
会社員の支払うべき保険の中で、厚生年金・健康保険・介護保険を「社会保険」と総称し、労災保険・雇用保険を「労働保険」と呼びます。
社会保険は全ての個人事業主も対象になっているため、会社を退職したあとは、14日以内に居住地の市区町村役所で手続きを行いましょう。
2年を上限に、会社員時代の健康保険を任意で継続することも可能です。
副業をしている会社員(サラリーマン)が個人事業主になる4つのメリット
そもそも、開業届を提出して個人事業主になるメリットは何があるのか疑問に思う人もいますよね。
ここでは、副業をしている会社員(サラリーマン)が個人事業主になるメリットを4つお伝えします。
- 必要な経費を計上できる
- 損益通算が可能
- 損失を繰り越せる
- 青色申告なら控除を受けられる
順に見ていきましょう。
必要な経費を計上できる
1つ目は、必要な経費を計上できる点です。
確定申告では総収入金額から必要経費を引いた金額に対して所得税が課税されますので、経費を計上すれば、節税効果を高められます。
- パソコン・机・椅子などの備品
- 携帯やWi-Fiなどの通信費
- 仕入れや発送にかかった費用
- 取引先との打ち合わせで利用したカフェのお茶代
- 水道光熱費
- 家賃
どのような事業を行っているのかによってかかる経費も違いますが、上記のように、仕事に必要な備品の購入や事務所として利用している賃貸物件の家賃や水道光熱費も計上可能です。
もし自宅と事務所が同じという人の場合でも、家事按分を行い、経費を算出することができます。
経費を上手に使って計上すれば、その分所得金額が少なくなるため、節税対策になるというわけです。
損益通算が可能
2つ目は、損益通算が可能な点です。
- 損益通算とは:異なる収入源を持つ人が、一方の赤字を一方の黒字に相殺できる制度
- 給与所得400万円
- 副業の事業所得▲50万円
- 課税対象となるのは400万-50万円の350万円
例えば会社員として給与所得400万円を得ている人は、そのまま400万円に課税されますが、その人がしている副業が経費を差し引いて50万円の赤字が出た場合、給与所得から赤字分を差し引いた、350万円に課税されることになります。
副業分が赤字であっても、損益通算をすれば課税される給与所得はその分低くなりますので、節税が可能になるわけです。
赤字を給与所得と通算できる所得は、不動産所得と事業所得となります。
一時所得や雑所得は赤字であっても損益通算できないことを覚えておきましょう。
損失を繰り越せる
個人事業主として開業届を提出し、更に青色申告を行う場合、損失を翌年以降3年間繰り越すことができます。
- 前年度100万円の赤字
- 今年度200万円の利益
- 200万円-100万円=100万円が課税対象となる
副業で100万の赤字が出てしまったが、次の年には200万の利益が出た人の例で考えると、通常であれば200万円を軸に税金計算するところを、200万円から繰り越した前年の損失100万円を差し引けるため、100万円を軸に税金計算をすれば良いことになります。
常に黒字が出ていれば問題ないですが、開業したての頃や、予想もしなかった出来事により、思うように売上が伸びないことも事業をしていれば起こりえることですね。
節税対策を行いたい人は、青色申告を行い、万が一損失が出た場合に繰り越える体制を整えておきましょう。
青色申告なら控除を受けられる
個人事業主として開業し、売上が安定してきたら、青色申告を行いましょう。
青色申告の最大のメリットとして、最高65万円または10万円が控除される青色申告特別控除があります。
項目 | 条件 |
---|---|
65万円所得を受ける条件 | 不動産所得または事業所得を営んでいること 複式簿記により記帳していること 貸借対照表および損益計算書を確定申告書に添付していること e-TAXによる申告または電子帳簿保存を行うこと |
10万円所得を受ける条件 | 上記条件を満たさない場合 |
青色申告を行う65万円の控除を受けた場合、副業の総収入金額から必要経費を差し引き、さらに65万円を引いた金額が事業所得として課税対象となりますので、十分な節税効果が期待できます。
せっかく個人事業主として確定申告を行うのであれば、青色申告でメリットを享受しましょう。
副業をしている会社員(サラリーマン)が個人事業主になる2つのデメリット
個人事業主になるにはメリットだけでなく、デメリットも生じます。
良い面だけを見て行動に移す前に、デメリットを見てリスクを考えた上でどうするか判断すると良いでしょう。
- 確定申告で面倒になる
- 退職した際の失業保険を得られない
以下で説明します。
確定申告で面倒になる
副業で得た収入が20万円を超えた場合、確定申告が必要になるため、手続きが面倒になるデメリットがあります。
白色申告は帳簿や申告の手間はかかりませんが、基本的に税制面での優遇を受けることができません。
青色申告は帳簿の作成に手間や時間が必要な反面、最高65万円の控除を始めとした、税制面の優遇措置を受けられます。
青色申告の方が得することが多い分、確定申告の時期は多少の覚悟が必要ということを覚えておいた方が良いでしょう。
退職した際の失業保険を得られない
2つ目のデメリットは、退職した際の失業保険を得られないことです。
労働者が会社を辞めた場合、失業中の生活費を心配しないで職探しができるよう、窓口での職業相談・職業紹介を受けるなどの求職活動を行った上で、失業保険を受けることができます。
しかし、失業保険はあくまで失業した人が新しい仕事を探し、再就職を促すための制度のため、会社員時代から副業をしておりそのまま独立した場合は、給付の対象となりません。
ただし、失業した人が早期に仕事を見つけた場合、再就職手当の給付の対象にはなる可能性があるため、ハローワークに相談すると良いでしょう。
副業をしている会社員(サラリーマン)が個人事業主になる際のよくあるQ&A
最後に、副業をしている会社員(サラリーマン)が個人事業主になる際の、よくある質問に答えていきましょう。
- 副業収入を得ながら個人事業主になれる?
- 社会保険料は支払う必要がある?
いずれも気になる質問ですね。
順に見ていきましょう。
副業収入を得ながら個人事業主になれる?
A.副業収入を得ながら個人事業主にはなれます。
本業で給与所得を得ており、副業として事業をしている場合でも、収入を得ていると個人事業主となります。開業届を出していないから収入の規模は関係なく、確定申告が必要な所得を得ているのであれば個人事業主です。
社会保険料は支払う必要がある?
A.社会保険料は支払う必要があります。
会社員として働いていて副業収入を得ている場合でも、通常であれば社会保険は会社ですでに加入している場合が多いため、個人事業主になっても、新たに加入手続きは必要ありません。
独立して個人事業主となった場合は、会社内で手続きをしてくれるケースはあまりないため、市区町村役所で国民健康保険・国民年金への切り替えの手続きを取る必要があります。
まとめ
本記事では、将来独立を検討している会社員に向けて、個人事業主になる方法や準備から、個人事業主になるメリット・デメリットを解説しました。
副業を始めたうちは赤字が続く可能性もありますが、赤字が出た場合も損益通算や損失繰り越しでかかる税金を安くすることができます。
確定申告や社会保険に関わるデメリットにも目を通して、不安を解消していきましょう。
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